なぜ日本人は、かくも覇気がなくなったのか

日本社会の構造変化はさまざまあるものの、先行きが本当に懸念されるのは若い世代の覇気の低下、気合のなさである。“草食化”などと茶化されているが、これは相当に深刻だ。

日米中韓の4カ国の高校生を対象にしたあるアンケート調査(2007年、日本青少年研究所)では、日本の若者の“意欲”の低さが浮き彫りになった。たとえば「生活意識」について。日本「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたい」米国「一生に何回かはデカイことに挑戦してみたい」中国「やりたいことにいくら困難があっても挑戦してみたい」韓国「大きい組織の中で自分の力を発揮したい」「偉くなることについて」は、日本「責任が重くなる」「自分の時間がなくなる」米国「自分の能力をより発揮できる」「周りに尊敬される」中国「自分の能力をより発揮できる」「責任が重くなる」韓国「周りに尊敬される」「自分の能力をより発揮できる」

そして「偉くなりたいか」という質問に「偉くなりたいと思う」「強くそう思う」と答えたのは米国22.3%、中国34.4%、韓国22.9%に対して、日本の高校生は8.0%。「将来就きたい職業」でも日本の高校生の上昇志向のなさが際立つ。

米国が「医師」「デザイナー」「スポーツ選手や歌手」、中国は「会社・企業の経営、管理職」「公務員」「法律家」、韓国が「小中高校の教師」「会社・企業の経営、管理職」「デザイナー」に対して、日本は「営業・販売・サービス職」である。

こうした意識調査はほかにも行われているが、判で押したように同じ結果が出てくる。たとえば今春に入社した新入社員に対する調査では、どこまで偉くなりたいかという質問に「社長」と答えた人はほとんどいない。「取締役」も少なく、役職に就くと責任が重くなるから嫌という声が多数派を占めた。今春、取締役になったビジネスマンに対する意識調査でも、やはり責任ばかり重いのに給料はあまり変わらないという理由で、ほぼ全員が社長になりたくないと答えている。