特に原子力は、安全確保の追加費用や事故リスクの対応費用などのコストがかかる。火力も世界的な脱炭素の流れの中で、CO2排出対策の費用はかさむことが見込まれる。

電力料金の見える化が進めば、発電コスト減が続く再エネの恩恵を利用者も認識できる。また、どの電源を選択するのが安価で適切か、利用者の理解は一層進むことになるだろう。

安価になった再エネの恩恵を享受できる仕組みが必要だ

制度設計上、これからも再エネ賦課金が上がるという報道は毎年続くことになる。指摘したように、必ず上がるように設計されていること自体も問題であるが、真に問題なのは、そうした表層的なところに大事な事実が隠れてしまっていることだ。

電気料金がブラックボックス化していることや、再エネコストの低下を利用者が実感しにくいというのも根本的な問題だ。また、脱炭素時代に再エネにシフトしていくことについて国民理解を得られにくい仕組みになっていることも今後大きな問題となるだろう。

日本は資源が乏しい。年によっては年間25兆円を超えるお金を、日本は化石燃料の調達のために海外に支払っている。また、エネルギー供給の外国依存は極めて高く、エネルギー安全保障上の脆弱性も抱えている。

再エネの拡充が進み、エネルギー自給率が向上すれば、これまで海外に支払ってきた国内資産が国内に循環することにもつながる。再エネ賦課金にばかり焦点が当たってしまえば、こういう大局は見えてこない。

脱炭素化の国際的な流れは決定的だ。利用者の負担軽減を念頭に、これからについては国民負担の在り方を見直すとともに、ブラックボックス化した電気料金を見える化するなどの改善が必要だ。再エネの恩恵を、多くの国民に享受されてこそ、脱炭素化ははじめて実現しうると考える。

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