もしも男性であれば同じことは起こったか

もちろんすべての男性が女性軽視的目線を持っているとは思わないし、女を記号として見るのではなく「一人の人間」として扱ってくれる男性もいるのだが、そもそもそれは当たり前のことであって、他者と関わる上で最低限必要なことであるはずだ。

仕事で、取引先や上司などから不当な扱いを受けたという女性の経験談を聞くたび、いつも「これがもしも男性であれば、このような扱いを受けることはあっただろうか」と考えるようにしているのだが、やはりほとんどの場合は「女性である」というだけで存在を軽んじられたり、高圧的な対応を取られたりしている。

その背景には、まだ日本社会においては権力構造のバランスが男性に大きく偏っていて、そのなかで強者的立場にいる人間が「大した権力を持たない女性を怒らせたところで自分が不利益を被ることはない」と高を括っていたり、「女性は男性に比べて職能が劣っている」と心から信じて疑っていなかったり、女性を成人としてではなく、まだ未熟な子供であるかのように扱っていたりするのだと思う。

だからこそ、こちらが侮辱的な扱いに強く抗議したり問題にしようとすれば、彼らは予想外の事態に狼狽したり、困惑したり、あるいは「生意気だ」と怒りを覚え、さらに攻撃的になったりする。

正当な抗議をして干される女性たち

そうやって正当な抗議をした知人の女性たちが、いわゆる権力を持つ相手から「干された」状態になったのを聞くことも多い。そして私自身も同じように、正しい対応を求めたことがきっかけで二度と取引ができなくなった会社がいくつかある。

特に個人事業主である私たちにとって、取引先を失うことはダメージとなることに間違いないが、女性たちだってこのような理不尽な事態を黙って、何もせずに見つめているわけではない。私たちは水面下で情報を共有しあっていて、連携し、これから先、同じようなことが業界内で起こらないように証拠を集めたり、強者側の立場にいる協力者と繋がるなど、互いの身を守るための手段を用意している。

セクハラした女性からの告発をもみ消そうとすることも、女性にだけタメ口でメールを送る不遜な行為も、相応の報酬を与えず、女性を「記号」として消費しようとすることも、そろそろ通用しない時代へと移り変わっていることに、社会全体が早く気が付くべきではないか。

幸い現代には、これまでなら問題をなかったことにされてきた被害について、SNSで誰もが告発でき、意見を言い合える環境がある。権力構造の上にいる人々こそ「今後は昔のようには行かない」と気付けなければ、これから先、損をするのは自分たちの方なのではないだろうか。

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