日本人はあいづちとして「ほんと?」と言い添えることが多い。しかし、同じように英語で“Really?”をあいづちに使うのは注意が必要だ。言語学者の井上逸兵さんは、「英米圏では、うなずき方ひとつをとっても誤解を招く可能性がある」という――。

※本稿は、井上逸兵『英語の思考法』(ちくま新書)の一部を再編集したものです。

無意識で打つあいづちにも実は文化的な差がある

あいづちは会話の相手との「つながり」上、とても重要だ。無意識に行っていることが多いために、言葉ほど文化の差がないと思いがちだ。ところがそうでもない。

まず、英語ではどのようなあいづちをするかというと、

I see.
(軽く「そうね」「なるほど」くらいのニュアンス)

などは知っている人も多いだろう。

Yes./Yeah.

も、もちろんあいづちになる。「アッハン♡」という色っぽい声を連想してか(ある世代では?)、ちょっと言うのに抵抗がある日本人がいるようだが、

Uh-huh.

というあいづちもよく使う。このあたりは慣れてしまえば、日本語の感覚に近いかもしれない。

Hmm.

などと言ったり(音を発したり?)もする。

ただ、これらばかりだとワンパターンでつまらない。同じあいづちの連発にならないことも「つながり」志向では大事なことだ。

ワンパターンなあいづちは「話がつまらない」と受け止められる

これはつまり、ワンパターン=つまらない=興味がない=「つながり」の「タテマエ」に反する、という図式である。あいづちがつまらなそうであることから、「話もつまらないと思っている」と推測されるということだ。

Right./Sure./Exactly./Indeed./Absolutely.
(いずれも「その通り!」と、相手の言っていることを肯定するニュアンス)

のように一語で言うものもあれば、同じように肯定するような意味のものでも、

That’s true.
(その通り)
That’s a good point.
(それなんだよねー)

のように文で発する相づちも定番だ。

That’s great!/That’s amazing./That’s absolutely/amazing!(いずれも、「すばらしい!」という意味合い)/How interesting!(面白い!)

という感じで、称賛するタイプのあいづちもある(だいたい褒められると調子に乗ってさらに話したくなるものだ)。

オーディエンスが拍手する
写真=iStock.com/Rawpixel
※写真はイメージです
I didn’t know that!
(へー、知らなかった!)

などは、相手の話がオリジナルであることで持ち上げる、「独立」的要素の加わったあいづちだ。いろんなパターンを用いる。バリエーションがあるということ自体が重要なのである。