エラい人との会話は「適度に長く、適度に短い」が重要
「つながり」志向の会話にとっての基本は、できるだけ長く話すことだ。長く話すことの意味は、まず第一にそれだけ時間を共有するということである。親しくない人や偉い人に話をする時には手短に話すのが礼儀にかなっていると考えるのはその裏返しである。
メールなどでも、日本語では親しくない人や目上の人に長々と書いてしまうと、「長文で申し訳ありません」と謝ったりする。長く話せばそれだけ、その人の時間を奪い、その時間の分だけ、その人を拘束するからである。
逆に、長く話して情報も共有し、自分のことを話すことになれば、それだけ自己開示することにもなる。腹を割った話は基本的に「つながり」志向である。
これとは裏腹に、会話やメッセージが短すぎると、ぶっきらぼうになる、という危険性もある。エラい人に話す時も短ければいいというものでもない。適度に長く、適度に短い、このバランスが重要である。
ただ、英語が外国語である人は、英語が不自由なあまりついつい寡黙になりがちだ。そういう人たちにとっても、もう一言何か加えるというのは「つながり」の観点からも必要なことである。ちょっとだけおしゃべりになるつもりがけっこうちょうどよかったりする。
「ちょい足し」でより礼を尽くした印象に
ちょっとした表現でも何か加わっていると、より「つながり」的になる。言い方を変えると、「つながり」志向の英米文化、英語にとってはそれが普通なので、これがないとそっけないと受けとめられやすい。
例えば、「心配しないで」と言いたい時に、軽く、
Don’t worry.
というような状況であればいいが、何かの説明をしている時などでは、
Don’t worry about that.
くらいまで言ったほうが、きちんとコミュニケーションしようとしていることが伝わるし、(心配しないでと言われて)安心度もより高くなる。
謝罪の表現I’m sorry.も、「なんか申し訳ないね」という感じの謝罪であるI feel bad.も、about thatなどを最後に足して、
(なんか申し訳ないね)
I feel bad about being late again.
(また遅刻してしまいなんか申し訳ないね)
と言うと、誠実感が増し、「悪いことしちゃったなー、申し訳ない」という気持ちが伝わりやすい。
短い表現、簡略な表現はそれだけ「言われなくてもわかる」度が高く、逆に言葉を多く足したほうが礼を尽くしている印象になりやすい。ただし、「言われなくてもわかる」度が高いということはよりカジュアルな言い方で、相手との関係が親密度が高いということでもあるのでバランスが大事だ。