若い人を中心に早期リタイアを目指す「FIRE」が注目を集めています。いつでもFIREできるような富裕層たちは、それをどう見ているのでしょうか。外資系コンサルを辞めて不動産投資を始め、現在はその経験を活かしたコンサルティングを行う午堂登紀雄さんが解説します――。
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頭文字ワードに要注意

昨今、米国を中心にして「FIRE」というコンセプトが人気です。これは缶コーヒーのことではなく、Financial Independence Retire Early、つまり「経済的に自立し、早期リタイアする」という意味です。

ちなみにこういうアルファベットの頭文字を使ったキーワードが出てくるときは要注意。必ずそれを商売にしよという人・企業が出てくるからです。

ビジネスの世界でもたとえばCRMとかSFAなどと、内容はごく当たり前のことなのですが、それを導入すればあたかもあらゆる問題が解決する魔法の道具のような響きがあり、ITベンダーのカモになってしまうというアレです。

また、そういう短縮キーワードを使うとなんとなく最新で賢くて、というイメージもあるためか、中身を深く考えずつい口にしてしまいがちです。「ナントカ2.0」とか「ホニャララ3.0」とか。それはついに芸能界にも波及し、「お笑い第7世代」といった言葉も飛び交っています。

経済的自立の2つの意味

ここでは、そういう表面的な新規性(に思えること)よりも、内実に目を向けてみます。

まず「経済的自立」は言うまでもなく重要で、これは誰もがうなずくところだと思います。

ただしこれには2つの意味があると私は考えていて、1つは一般的な「自分の労働力に依存しない不労所得がある」ということと、2つ目は「誰にも頼らず自分の腕一本で食べていける」という意味です。