酒の中にウイルスが入っているわけではない
毎日社説は「コロナ対策の特別措置法では、要請に応じない店には命令を出し、それでも従わない場合はさらに過料を科すことができる。しかし、取引先からの働きかけや国税庁などからの要請は、法的根拠を欠いている」と指摘したうえで、こうも書く。
「政府が酒類の提供規制にここまでこだわるのは、飲酒を伴う会食は感染リスクが高いとみられるためだ」
「国立感染症研究所は、飲酒を伴う会食に複数回参加した人はそうでない人に比べて、感染リスクが5倍近く高まるという分析結果を公表している」
CDC(アメリカ疾病対策センター)の最近の分析によれば、新型コロナウイルスは飛沫感染の中でも細かな飛沫粒子が飛び散るエアロゾル感染が多い。人は仲間とアンコール類を口にすることで気分が高揚し、大声を出して会話したり、ときにはわめいたりすることもある。そのときに飛び散る唾液などのエアロゾルにウイルスが含まれていると、感染がかなりの割合で広まりやすいというのだ。だから飲酒を伴う会食が禁止される。酒の中にウイルスが入っているわけではないのだ。
最後に毎日社説は「政府はコロナ禍で苦しむ事業者の窮状を直視し、感染防止の必要性を丁寧に説明した上で協力を仰がなければならない」と主張する。医療におけるインフォームド・コンセント(十分な説明とそれに基づく同意)と同じように、協力を求めるにはきちんとした説明が必要である。