西村康稔経済再生担当相が大炎上している。酒類の提供停止に応じない飲食店に対し、金融機関を通じて圧力をかけるというやり方が「恫喝まがい」と猛批判されている。西村氏とは灘校・東大の同窓である精神科医の和田秀樹氏は「頭はすごくいいけれど、人の気持ちへの共感能力が極めて低い。地元兵庫や記者も、上から目線で不遜なところがある嫌な人という印象を持っているようだ」という――。
金融機関を通じて圧力をかける「恫喝まがい」で炎上中の西村大臣
西村康稔経済再生担当相が7月8日夜の会見で酒類の提供停止に応じない飲食店に対し、取引先の金融機関から順守を働きかけてもらう方針を示したところ、あちこちから嵐のような批判が起こり、発言の撤回に追い込まれた。
金融機関を通じて圧力をかけるというやり方は「恫喝まがい」と批判され、そうでなくても4度目の緊急事態宣言で酒類禁止が決まり飲食店が不満を募らせていたさなかであったこともあり、発言を撤回した後、西村大臣がツイッターで誤解を招く表現だったと謝罪しても批判の声が収まらない。
ネット上では西村大臣の辞任を求める声もあがり、さらに次の衆議院選挙では「自公以外」に投票を呼び掛けるポスターが拡散しているとのことだ。
政治家の失言は、これまでにも枚挙に暇がないくらい起きているが、今回の炎上ぶりは私が記憶する限り、ここしばらくで最大級のものだ。
灘→東大法→官僚→米留学→政治家という秀才の大欠点
西村氏は灘高校から東京大学法学部を経て旧通産省に入省し、米国メリーランド大学で国際政治経済学の修士号を取得した、秀才中の秀才ともいえるキャリアの持ち主だ。
本連載では、本来、賢い人がバカ化する現象を取り上げているが、今回の件はその典型例と言えるものかもしれない。
心理学の世界では長年、旧来型の知能以外の研究が行われているが、その中で、注目されているもののひとつに「EQ」がある。
このEQという概念は、IQ(知能指数)が高いのに、それがうまく使えず、社会で成功できない人がいるという疑問に対する解答として、彼らに欠落している能力を研究する中で生まれたものだ。