知りたくない事実を突きつけても聞こうとしない
僕の場合は、毛嫌いを正当化するために「ユーチューバー作品はクオリティーが低い」という根拠のない妄想にすがったわけです。同じように、保守派議員たちは伝統的家族という妄想にすがっているのです。
その妄想を否定するような、前述の養子への意識や産業構造の変化などは、彼らにとっては「知りたくもない事実」。こちらがいくら事実を示しても、そもそも知りたくないので話を聞こうとはしてくれないでしょう。こうした人たちとの戦いは、残念ながらかなり厳しいと言わざるを得ません。
言い続けることが大事
それでも、国民は彼らに対して、真実はこうだ、世論はこうなんだと言い続けるべきです。意見を発信すると同時に、LGBT法や選択的夫婦別姓に反対する議員、差別的発言をする議員など「いつものメンバー」をしっかりチェックして、投票に反映する姿勢も必要です。
ただ、そうしたメンバーは票を得ているから議員になっているわけで、そこは現実として受け止めなければなりません。世の中には彼らの発言を支持する人たちもいる。そうした別世界もあるのだと認識した上で、一人ひとりが自分にできる努力を続けていくことが大事だと思います。
保守派議員による今回の発言は報道で大きく取り上げられ、非難の声もたくさん上がりました。2000年代前半にフェミニズムに対するバックラッシュ(反動、揺り戻し)が起きた時とは雲泥の差です。
例えば、2006年には、今でもご活躍されているジェンダー研究者の上野千鶴子先生が、東京都のある市で人権講座の講師を務める予定だったのですが、「ジェンダーフリーという用語を使うかもしれない」という理由で講座が中止に追い込まれるという事件が発生しています。