保守派が知りたがらない真実
保守派の人たちは「同性カップルでは子が生まれない」と、それがさも悪いことであるかのように言います。しかし、1953年に行われた調査では、子どもがいない、あるいは子どもの中に男子がいない場合「養子をもらって跡を継がせた方がよい」が約73%と圧倒的多数を占めていました。
つまり、昭和初期の日本では、後継ぎが必要な場合でも「何がなんでも子を生むべき」より、「子どもがほしければ養子をもらえばいい」という考え方のほうが主流だったのです。夫婦とその2人から生まれた子という家族像は、日本の伝統と言えるものではないのです。
家族は暖かいとか冷たいとかではない
また、伝統的家族像に固執する姿勢は、彼らが時代に向き合っていないことの証しでもあります。家族社会学では、家族には「直系家族制」と「夫婦家族制」の2つがあるとされています。前者は、親の財産を跡取りが受け継ぎ家族を存続させていくもの。後者は家族の単位は夫婦であり、その夫婦が離婚したり亡くなったりすれば家族も終了というものです。
多くの家庭が農業などの家業を持っていた時代は、直系家族制が適していたでしょう。でも、現代では会社に雇われて働く人が増え、子や孫に継がせる家業を持たないケースが多くなっています。この場合は夫婦家族制のほうが適していますから、自然の流れとして、家族のありかたもそちらのほうに変わってきました。
ところが、保守派の人々が抱く家族像は、直系家族制の時代からまったく変わっていないようです。変化自体は感じているのか、「昔の家族は暖かかった、今は冷たい」などと嘆いていますが、実際にはそういう問題ではありません。暖かいとか冷たいとかではなく、産業構造が変わったから家族のありかたも変わっただけなのです。