「まぎれもない自民党議員の公選法違反事件である」と産経社説

「河井元法相に実刑 党の無責任体質も猛省を」との見出しを掲げた産経新聞(6月19日付)の社説は、二階氏の別の発言を問題視している。

「自民党幹部からは無責任な発言が相次いだ。3月に河井被告が議員辞職願を提出した際には、二階俊博幹事長が『党もこうしたことを他山の石として、しっかり対応しなくては』と述べて世間をあきれさせた。『他山の石』ではあり得ず、まぎれもない自民党議員の公選法違反事件である」

その通りである。だれがどう言おうと、自民党議員の悪質極まりない事件なのである。

産経社説は「5月には1億5千万円の送金をめぐり、二階氏が『私は関係していない』と主張し、林幹雄幹事長代理は『実質的には当時の(甘利明)選対委員長が担当した』と述べた。担当者と名指しされたも同然の甘利氏は『1ミクロンも関わっていない』と否定した。こうした責任の押し付け合いが有権者にどう映ったか」とも指摘する。

要は、彼らは自民党の要人としての自覚がないのである。政党を背負って立つという自覚を持ち、国民のための国民の政治をしっかりと実行してもらいたいものである。

産経社説はさらに指摘する。

「林氏は、検察が押収した関連資料が党に戻ってくれば『買収資金に使われていないと、きちんと証明する』とも述べた。この言質を忘れまい。約束は必ず果たしてもらおう」

そうだ。そうである。きちんと約束を果たすのが筋である。それが自民党を背負って立つ者の使命である。

責任の押し付け合いはみっともない

6月19日付の毎日新聞の社説は「河井元法相に実刑判決 買収の全容なお未解明だ」との見出しを掲げ、判決内容について触れながら選挙違反での実刑判決を「異例だ」と指摘したうえでこう強調する。

「だが、事件の全容は、いまだ解明されていない」

前述したように1億5000万円の使途など未解明なところが多い。それゆえ自民党側がしっかりと説明する必要がある。

毎日社説は書く。

「自民党総裁の菅義偉首相は『検察に押収された書類が返還され次第、党の公認会計士が監査する』と繰り返すだけだ」
「党幹部は責任を押しつけ合った末、二階俊博幹事長が、提供を決めた責任は、当時の総裁だった安倍晋三前首相と自分にあると認めた。ならば、両氏は速やかに経緯を説明すべきだ」

責任の押し付け合いはみっともない。繰り返すが、菅首相には重い説明責任がある。同様に安倍前首相や二階幹事長にも責任がある。