冗談を言っていい場面か考えよう

【原因3】冗談を言っていい状況かどうかの判断を誤っている。

川添愛『ふだん使いの言語学 「ことばの基礎力」を鍛えるヒント』(新潮選書)
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先の相談のケースにはこの問題もある。たとえば、もし相談者が「(あなたの彼氏は)浮気でもしているんじゃないの?」と言うかわりに、「ツチノコでも探しに行っているんじゃないの?」とか「山にこもって空手の修行をしているんじゃないの?」と言ったならば、聞き手がそれを「実際にそうかも」と思う可能性は低い(ただし、彼氏がオカルト好きだったり空手家だったりする場合は別だ)。

しかしその場合でも、友人は相談者に対して「私が真剣に悩んでいるのに、冗談で返すなんてひどい」とか、「私の悩みなんかどうでもいいと思っている」と思うかもしれない。つまり、「そういう状況で冗談を言うこと」自体が問題になることもあるのだ。

このように考えると、冗談が通じて、なおかつ言った方と聞いた方の両方が笑顔になるのは相当ハードルの高いことであるようだ。今のご時世、誰も不快にならない冗談を言える人がいたら、もっと賞賛されていいのかもしれない。

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