本気だと思われないように気をつけよう

【原因1】冗談のつもりだったのに、本気の発言だと受け止められる。

これは一番分かりやすく、よくあるパターンだ。

過去には、差別的なブラックジョークをSNSに投稿した人が、多くの人々に本気の発言だと受け止められてしまい、大炎上したあげく職まで失ったという事件があった。また、空港の係員に冗談のつもりで「俺はテロリストだ」と言った人が拘束されたケースもある。

冗談においては、話し手の発言の文字どおりの意味と、そこに込められた話し手の意図が大きくかけ離れていることが多い。話し手が文字どおりの意図を持っていないことが聞き手に伝わるには、話し手の人となりや、その発言に至るまでの文脈などが聞き手に理解されていなければならない。

また、話し手の表情や音声も重要な手がかりとなる。SNSのように、相手の顔も見えず声も聞こえず、言葉が文脈から切り離されやすく、さらに不特定多数の人々に拡散されやすい状況では、冗談が冗談として受け止められなくなる危険性が高い。

スマホをみて頭を抱える女性
写真=iStock.com/fizkes
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内容が不適切ではないか考えよう

【原因2】冗談の内容が相手の不安や不快感をかき立ててしまう。

これは、冗談であるということ自体は聞き手に伝わったのに、冗談の内容に問題があるため笑えないというものだ。実は、先の相談の問題点の一つはここにある。

先の相談には、相談者は普段から冗談を言う人で、友人もそれをよく知っているという前提があった。また、言い方や声の調子からも、相談者が冗談で「(あなたの彼氏は)浮気でもしてるんじゃないの?」と言っていることが聞き手に通じているはずだ。

しかし、たとえ聞き手が「話し手は冗談のつもりで言っているのだろう」と理解しているとしても、もしその内容が聞き手自身にとって「本当かもしれない」のであれば、その冗談は必ずしも笑えない。つまり、聞き手である友人がほんの少しでも彼氏の浮気を疑っているのであれば、相談者の冗談がその不安をかき立ててしまう可能性がある。

同様に、冗談を言うこと自体には問題のない流れであっても、冗談の内容がショッキング過ぎたり、倫理的に問題があったりする場合には、相手に眉をひそめられることになりかねない。いくら冗談であることが明確であっても、話し手がそういう言葉を口に出していいと思っていること自体は他人に伝わり、「冗談でもそんなことは言うべきではない」と問題視される可能性がある。