思い込みを捨てるためのツール

根拠のない思い込みが選択肢を狭めてしまう。これは、企業で働く女性をはじめ、多くの人に当てはまることだと思います。というのも、組織という枠組みの中で、自分に何ができて、何ができないのかが見えにくいことがあるからです。

では、具体的にどのようにマインドレス状態から脱却し、目の前にある選択肢を広げられるのでしょうか。わたしたちのプログラムで実践的なスキルとして取り入れているのが、「インテンション・リザルト・マップ(IRマップ)」です(図表1、図表2)。

IRマップは、無心の状態から脱却し、より意図的な行動を実践するためのツールです。このマップを何度も使うことで、過去の経験や環境、文化、社会的制約などからくる「習慣的で古い認識のフィルター」に気づき、より効果的な選択肢を生み出せるようになります。

それによって、自分が本当に望んでいる結果や、自分にとって重要なことも見えてくるようになるのです。そして、その結果に向かって意識的に判断できるようにもなるのです。

何を「手放すべきか」がはっきり見える

IRマップの使用方法にはふたつのフェーズがあります。まずは「望んでいない結果」を起点にして、あなたがどのように望んでいない結果をつくり出しているのかを明らかにします(図表1)。

ある女性のIRマップ(望んでいない結果を起点に)
出所=ジェレミー・ハンター&稲墻聡一郎『ドラッカー・スクールのセルフマネジメント教室』(プレジデント社)より。

次に、「望む結果」に至るための選択肢を見つけていきます。IRマップを繰り返し使い、ふたつのフェーズを行ったり来たりすることで、いま得ている結果に至る過程で実際に経験したこと、望む結果を得るために手放すべきことがより明確になってきます。

ある女性のIRマップ(本当に望む結果を起点に)
出所=ジェレミー・ハンター&稲墻聡一郎『ドラッカー・スクールのセルフマネジメント教室』(プレジデント社)より。