わきまえぐせの代償はストレスとして現れる

ところで、日本の女性の多くが持つ「わきまえぐせ」の代償は、実際ストレスとして現れています。わたしが気づいたところでは、感情を抑えているために、不満や苛立ちが自分の中に蓄積され、最終的には感情が麻痺してしまい、自分が何をしたいのか、何を感じているのかがわからなくなってしまうことがあるようです。

わたしの経験から言うと、日本人に一番多い感情の対処法は抑制です。感情をどこかへ押しやったり、存在していないフリをしたりして、無理に笑顔を繕おうとします。

実はこのやり方は大量のエネルギーを必要とするので、大きな負担となります。そのせいで心身に不調をきたすことさえあります。また、そのうちエネルギーのやり場がなくなって感情を爆発させてしまいかねません。

実例:怒りの感情をどう上司に伝えるか

では、感情とどのように向き合えばいいのでしょうか。

すべての感情には何かしらの情報とエネルギーが詰まっています。すべての感情には意味があり、次の行動につながるエネルギーがあります。ですから、「良い感情」と「悪い感情」があるわけではなく、「ポジティブな感情が正しい」わけでも、「ネガティブな感情がダメ」なわけでもありません。ちょっとピンとこないかもしれないので、ここでもうひとつの実例をご紹介しましょう。

プログラムに参加していたある女性管理職が、教室に入ってくるなり「上司に対して怒っている」と話してくれたことがありました。上司のしたことが許せなくて、怒りを感じていると。わたしはその怒りがどのような感覚をもたらしているのか聞きました。すると、彼女は「まるで頭に鉄の輪がはめられていて、誰かがその輪をギリギリと締め付けてくるようだ」と話してくれました。