1日の労働時間が半減

実際に首都圏青年ユニオンが実施した「ホットライン」に都内の飲食店で働く40代のパートの女性からこんな相談が寄せられている。

「土日祝日を中心に働いていたが、コロナの影響で2020年3月頃からシフトが減り、店舗が入っていた商業施設が休業になり、4~5月はシフトゼロで6月以降もシフトは完全に回復せず、半分ぐらいになっている。21年の1月以降は19時までと時短営業になっているので1日の労働時間がコロナ前と比べて半分くらいになっている」

また、カフェで働く30代のパート女性は「(昨年の)緊急事態宣言になったときに休業し、休業手当をもらったが、1カ月分5万円ほどしかもらえなかった。少なすぎて生活がままならない状態が続いている」と嘆く。

こうした状況について日本総合研究所の山田副理事長は筆者の取材に対し、こう指摘する。

失業率回復の裏に女性の「非労働力化」

「飲食・宿泊業など女性が多く働いている対面型のサービス業が大きな打撃を受けたが、これは世界共通の現象であり、“She-cession”(女性不況)と呼ばれている。加えて日本は非正規が多く、女性の多くが失職した。その後、女性の失業率は改善しているように見えるが、これは失職者の多くが非労働力化、つまりあえて仕事を探さない人が増えているためだ。

統計上は就業者であっても就業時間や日数の大幅減少を余儀なくされている人々が多く発生している。中には夫の雇用が保障されているので働かなくてもいい人もいるかもしれないが、最近は家計を支える女性も増えており、とくにシングルマザーは厳しい。リーマンショック時に非正規の脆弱なセーフティネットが露呈し、国はさまざまな雇用安定策を講じたはずだったが、結局、穴が空いている実態が浮き彫りになっている」

増え続ける非正規労働者の不安定な雇用と低賃金を放置し続ければ男女の賃金格差をさらに拡大させることにつながるだろう。