好調なマクドナルド「自己資本比率は驚異の75.1%」

一方、マクドナルドは好調です。

マクドナルドの財務状況

マクドナルドは12月決算ですが、前年度に比べて売上高、営業利益、純利益ともに増加しています。自己資本比率にいたっては、コロワイドやワタミが10%前後で低迷しているのに比べ、2020年12月末では75.1%と驚異的といってもいい数字です。

事業戦略的には、顧客の要望に応えるために打った手が功を奏しています。

例えば、時間帯に合わせたメニューラインナップの強化、また「月見バーガー」「グラコロ」「チーズロコモコ」などの期間限定商品や低価格の「バリューランチ」を販売するなどで、商品や価格への訴求をさらに進めました。さらに「モバイルオーダー」や「デリバリー」強化などによる利用客の利便性を高める施策も成功しました。

2020年は閉鎖店舗34店に対し、新規出店が48店舗と、店舗数の拡大も行っています。

数字的に投資の状況を見るために、減価償却費等と有形固定資産の取得を比べると、2019年12月期で104億円の減価償却費等に対して、有形固定資産の取得、つまり「投資」が145億円、2020年12月期でも116億円の減価償却費等に対して183億円の有形固定資産の取得を行っており、積極的に店舗展開やリニューアルを行っているのが、数字から見て取れます。将来のための投資を積極的にしているわけです。

2021年に入り、第1四半期(1~3月)の業績を見ても、2020年の同時期と比べ、売上高で5%、営業利益では20%の増加となっています。前年の同時期はコロナの影響が少し出始めたころだったので、業績の比較は難しいところですが、比較的堅調に推移していると言えます。

米国の経済統計を見ていると、コロナに対するワクチンの接種の進行もあり、1~3月期で実質GDPが年率6%を超える成長をしている一方、ワクチンの接種が進まない日本ではマイナス成長となっています。

最近になってようやくワクチン接種が進行し始めたことを考えると、今秋以降には外食業界にも明るさが見えてくるかもしれませんが、予断は許されません。3社の動向は、いわば日本経済が復活できるかどうかのリトマス試験紙のような存在であり、引き続き注視していく予定です。

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