「レモンクリームチキンカレー」は100万食を突破
「NISHIKIYA KITCHEN」ブランドの母体であるにしき食品は、宮城県岩沼市に本社を置くレトルト専門の食品メーカーだ。
一般的にレトルトには「間に合わせのメニュー」というイメージがあるが、NISHIKIYA KITCHENは「ごちそうレトルト」をテーマに、一流店などとコラボレーションした本格派の料理をレトルトで生産している。
筆者も今回、あらためて「NISHIKIYA KITCHEN」のカレーを10種類ほど食べてみたが、とにかくおいしい。自分でカレーを作るのがばからしくなるくらい、レトルトでもおいしいのだ。
特に人気の「レモンクリームチキンカレー」は100万食を突破している。その品質の高さから伊勢丹新宿店にも配荷されるなど、NISHIKIYA KITCHENブランドだけでも成功を納めている。さらに、直営店が宮城と東京にあり、レトルト食品専門店としては異例の人気を誇る。
売上の8割を占める業務用を捨て、小売りレトルトに方針転換
もともと、NISHIKIYA KITCHENの母体であるにしき食品はカレーのレトルトを中心に、無印を含めた小売店へ「原料としてのカレー」を提供するメーカーだった。
カレーは、小売店へ提供するよりも、大手弁当チェーンやコンビニエンスストアへ提供するほうが、トン単位の出荷が可能であり、売り上げも大きい。いっぽう、にしき食品の強みは300kg単位の小ロット生産だった。当時のにしき食品は自社ブランドも持っていたが、全体の2割にすぎなかったのである。
そこで、にしき食品は決断する。売り上げの8割に及ぶ業務用レトルトの生産を停止し、代わりに小売りのレトルト生産へ舵をきったのである。現在までにNISHIKIYA KITCHENのPB商品も広く展開し、小ロット生産を活かしたバラエティあふれるレトルトを提供している。
とはいえ、にしき食品単体では店舗展開に限界がある。そこで、無印良品とのタッグが売り上げ拡大への道を拓いた。無印良品のカレーの製造元になることで、数多くの店舗にNISHIKIYA KITCHENのレトルトカレーを置くことに成功したのだ。
簡単に言ってのけるようだが、相手は国内外含めて1000店舗以上を構えるグローバルブランドである。にしき食品が無印良品のパートナーに選ばれたのは、インドから国内の名店まで、カレー店を巡っては究極の味を追求するひたむきさが評価されたのだろう。