“日本一人負け”の状況が見えてくる

政策の優先順位の崩れは、今回が初めてではない。昨年、政府は国内の観光需要などを喚起するために“Go Toトラベルキャンペーン”などを実施し、結果的に年末にかけて感染が再拡大した。接種システムのパンクに関しては、昨年の特別定額給付金を巡る自治体の混乱があったにもかかわらず、そうした教訓を政府は活かすことができていない。

足許、政府は五輪開催とワクチン接種の優先順位を明確化できず、政策運営は汲々きゅうきゅうとしている。その状況が続けば、社会心理の悪化に拍車がかかり、国内の需要は一段と落ち込むだろう。それに加えて、もしワクチン接種がさらに遅れれば、インバウンド需要の蒸発も長期化する。

4~6月のGDP成長率を考えると、わが国と米国の成長率の差は一段と拡大する可能性が高い。やや長めの目線で考えると、主要国の中でわが国経済が一人負けの状況が鮮明となる展開も排除できない。

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