「考える行為」は話を聞く気を失わせる

もちろん、相手のコンディションの良いタイミングを見計らってプレゼンに行くなど不可能。

であれば、「こちらから良いコンディションにさせてあげる」ことが最良の道ということになります。

その際、けっして相手に感じさせてはいけないのが、「要するに何が言いたいの?」という疑問感情です。

疑問に思う、つまり「考える行為」は非常に労力を使います。そこに労力を使わせてしまった時点でこちらの負け。そもそも聞きたいと思っていないわけですから、そこに余計な労力をかけてくれる人なんていません。余計なことを考えさせることで集中力が途切れ、さらに話を聞く気がなくなってしまうのです。

これは非常にもったいない。どうせなら、相手を「前のめり」にさせた後、こちらの話の核心に迫る「ここぞ!」というところで労力を使わせたいものです。

だからこそ、

相手を疲れさせないこと。
相手に頭を使わせないこと。

が必要になってくるのです。

「伝わりやすい構成・演出」とは、その構造が相手にとって、無理なく受け入れられる組み立てになっているということです。

事実、伝わりやすいよう構成されたテレビ番組は、ストレスなく、誰でも簡単に内容を理解することができます。そして、「面白くてあっという間に終わってしまった」「来週もまた見たいな」という印象を視聴者に与え、人気番組としての地位を確立するわけです。

テレビには視聴者を疲れさせない仕組みがある

逆に、視聴者を疲れさせてしまったり、内容がわかりにくかったりするとすぐにチャンネルを替えられてしまいます。

そしてそれは、「視聴率の低下→番組終了→ディレクターの収入激減」という最悪の結果を招きます。そのため、各番組のディレクターたちは、生活をかけて、チャンネルをステイさせる努力をしています。その真髄こそ、

視聴者を疲れさせずに情報を伝える

ことなのです。これについては、ここまで繰り返し述べてきたので、ご理解いただけたと思います。実は、相手を疲れさせずに情報を伝えるために、とても大切なことがあります。それは、

ありふれた言葉・表現を使う。

たとえば、あなたのまわりにこんなことを言う人はいませんか?

①プライオリティをつけてから、ディスカッションしたほうがいいよね!
②ナレッジの共有がベストプラクティスにつながります。

こんなカタカナ語を多用する人、最近増えていますよね。

デキる自分を演出したいのかもしれませんが、「いかにうまく伝えるか」という視点で見ると0点であると言わざるを得ません。