東京五輪でも活用できる?

もう一つ、トヨタ生産方式を勉強した病院があります。小山さんも柳井さんも人間ドックに行ったことありますよね。

【小山】僕は毎年やってます。

【野地】そうすると、身長とか体重の測定は早く終わるけれど、バリウム飲むあたりで必ず滞留が起きる。おじさんが6人ぐらいダラダラしてて立ち止まってたりする。ところが、トヨタ生産方式を研究した病院だと、測定の順番を変えたり、早めにバリウム飲ませたりみたいなことをして、滞留がなくなる。人間ドックが早く終わる。

【柳井】それ、ありがたい。

医師が書いた処方箋を受け取る男性
写真=iStock.com/SARINYAPINNGAM
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【野地】ありがたいでしょう。トヨタ生産方式の応用ってそういうことができる。だから今度の東京オリンピックでも絶対、会場の周りに行列ができるじゃない、夏なのに。僕はトヨタの人にあれをカイゼンしてほしいと言っています。

【小山】トヨタ生産方式をオリンピックの開会式に用いるとか。

【野地】そうですよ。

【柳井】すごい、いろんなものの土台というか、基礎になるんですね。

「ADから放送作家へ」スキルアップになる

【小山】僕もこの『トヨタ物語』を読んで、FMヨコハマでも応用できると思いました。

番組では、例えばAD(アシスタント・ディレクター)は普通の業務を日々淡々とやっているけれど、自分で考えるとカイゼンできることがたくさんある。番組で紹介するメールも、来た順に置くんじゃなくて、自分なりに構成を考えながら、並べ替えてみる。

このメールがおもしろいから、これを先に紹介した方が番組がおもしろくなるぞ、と。そうすると、番組のクオリティがよくなるだけではなく、その人自身にスキルがついていって、やがて放送作家的なこともできるようになる。進化していく気がするんですよ。

【野地】ものすごくよく理解されてます(笑)。

【小山】トヨタ生産方式を(笑)。

【野地】いつでもトヨタに入れる(笑)。

「今日の成功は明日の失敗になるかもしれない」

【小山】あとユニクロの柳井(正・ファーストリテイリング会長兼社長)さんの帯もいいですよね。「今日の成功は明日の失敗になるかもしれない。」って。よく逆は、今日の失敗は明日の成功に、失敗は成功のもととかって言いますけど、逆ですよね、たしかに。

【野地】そうですね。

【小山】それと、トヨタの改革をした人たちは現場上がりだから、現場の気持ちをわかりながらやってるのがすごいと思うんですよ。