走行条件が悪いほど、安心感を与えてくれる

筆者はこれまでJeep各モデルでオンロード/オフロード(不整地路)/スノーロード(雪道)を走行する機会が各所であった。かつてチェロキーのオーナーでもあったので、どんな路面状況でも安心して走れることは身をもって体験していたが、取材の場で用意されていた各シチュエーションは別格だった。

筆者が経験してきた悪路でのジープ走行
撮影=FCA広報部
筆者が経験してきた悪路でのジープ走行

とうてい歩けそうもない泥濘ぬかるみや、登山靴を履いていても足首を捻ってしまいそうなゴロゴロとした岩場、豪雨で滑りやすくなった山道、大人の背丈ほど草が伸びた夏場のスキー場など、元オーナーとしても躊躇してしまう走行環境ばかりだったが、いずれもじんわり、丁寧な運転操作を心掛けるだけで難なく走り切った。

そればかりか走行条件が悪くなればなるほど、Jeepは高い安心感を与えてくれる。冒頭に“包まれるような”と述べたのはこうした状況で抱いたものだ。

「極」が付くほどの悪路でも、Jeepにとっては想定内

ところでJeepには独自規格である「Trail Rated」の称号がある。Trail Ratedとは、とくに悪路での走破性能が高められたモデルのことで、この称号を得るには①駆動力、②渡河性能、③機動性、④接地性、⑤地上高の5つの項目でJeepの基準をクリアすることが求められる。つまりTrail RatedとはJeepが認めた本格的なオフロード走行ができる特別なモデルのことだ。

5つの性能テストは、アメリカの「ルビコントレイル」(米国ネバダ州からカリフォルニア州へ続く悪路)で季節を問わず行われている。

「険しい自然環境での性能テストは商品開発を継続する上で重要だ」と、以前、本国から来日したJeepの技術者から伺ったことがあるが、筆者にしてみれば極が付くほどの悪路であったとしても、Jeepからすればそれらはすべて想定内。むしろ最適なフィールドであったわけだ。

見た目は四角くゴツいが、乗込んでみるとそれらが功を奏しボディ四隅の感覚は暗がりでも掴みやすい。売れ筋のラングラー(5ドア)ともなればボディサイズや死角も大きく、最小回転半径も6.2mと大きいから手を焼く場面もある。

しかし、目標物を見失いやすい自然を相手にしたオフロードでは、水平基調の車内デザインと、高めにとられた運転席の着座位置が強みとなり、瞬間的な状況把握がやりやすい。悪路になればなるほど想像以上に乗りやすくなる、これがJeep全モデルに共通する強みだ。

筆者が経験してきた悪路でのジープ走行
撮影=FCA広報部
悪路になるほど乗りやすくなる