昔のスポーツカーのような「丸型2眼メーター」

インテリアでは、ハッチバックの中級グレード以上に装備される、双眼鏡を思わせる小ぶりな丸型2眼メーターが目立つ。昔のスポーツカーのような眺めで、2つの丸の中に速度などをデジタルで表示する。ここからも走りをイメージしていることが伝わってくる。

面白いのは、ヤリスクロスではこのメーターが逆に下位グレードに使われ、上級グレードは一体型のデジタルメーターとしていることだ。ちなみにハッチバックの下位グレードは同じ一体型パネルの中にアナログメーターを置く。

GRヤリスも同じ一体型パネルの中にアナログメーターを並べるが、スポーツモデルだけあって速度計の目盛りはそれ以外のヤリスの180km/hから一気に280km/hまで拡大されている。

インパネやドアトリムは共通部分が多いものの、上級グレードではカラーコーディネートを違えて差別化を出している。個人的に好感を抱いたのはドアトリムだ。オープナー、グリップ、パワーウインドーのスイッチがひとつのユニットに集約した個性的な造形で、実際に使ってみると手の移動距離が少なくて楽だった。

シートはハッチバックとヤリスクロスは共通で、下位グレードでは背もたれとヘッドレストが一体のハイバックタイプになる。GRヤリスは逆に最上級のRSハイパフォーマンスのみ、サイドの張り出しが通常より大きいスポーツシートとなる。

統一感を保ちつつ、個性を際立たせている

ヤリスのウイークポイントをひとつ挙げるなら、キャビンがさほど広くないことだ。ハッチバックでも後席に身長170cmの筆者は座れ、SUVのヤリスクロスはさらに広いが、ホイールベースがハッチバックと共通の2550mmなので、広さや使いやすさはヴェゼルやキックスが上回る。

でもコンパクトSUVに広さを求める人には、ダイハツ工業が開発生産する「ライズ」がある。また欧州では、コンパクトカーの後席はひんぱんに使わないことから、広さはさほど重視しない。ヤリスのパッケージングは欧州的とも言える。

3台のデザインを比べながら思うのは、共用部分でシリーズとしての統一感を出し、同時にコストを抑えつつ、適材適所で独自のディテールを与えることで、個性を際立たせていることだ。絶妙という言葉を思い出す。

それとともに、どこから見ても走りそうなフォルムから、豊田章男社長が常々口にしている「愛車」の2文字が浮かんだ。

愛車とはマイカーを指す言葉で、カーシェアリングやレンタカーとは違う。カーシェアやレンタカーは移動のために使う人が多いのに対し、マイカーはデザインや走りを楽しむ、趣味のパートナーとしての色が濃くなる。ヤリスの躍動的なフォルムは、そんなシーンを想定しているのではないかと思っている。

【関連記事】
名車「クラウン」があっという間に売れなくなった本当の理由
EVは時代遅れに「エンジンのまま完全カーボンフリー」を実現する"あるシナリオ"
40台以上を乗り換えてきたCKB横山剣が「あと1台ほしいトヨタ車」とはなにか
「社長がレースに出るなんて」CKB横山剣がトヨタをリスペクトする理由
「GAFAよりもトヨタのほうが価値ある企業である」冨山和彦がそう考える理由