欧州でも通用するコンパクトカーだと証明された
一方欧州におけるヤリスと言えば、3月にさらなるニュースがあった。2021年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)で、前に紹介したVWのID.3など欧州の競合車を退けて受賞したからだ。一方、筆者も選考委員を務めた日本のCOTYは、スバル「レヴォーグ」であり、ヤリスは3位だった。
デザインや走り、さらに環境問題に厳しい目を持つ欧州でベストセラーカーになったうえに、COTYまで受賞したことは、ヤリスが欧州でも通用するコンパクトカーであることを証明する結果になった。
欧州でのヤリスはハイブリッド車が主力であり、圧倒的な燃費性能は環境性能の高さとしてアピールしたようだ。さらにGRヤリスの存在も効いていると思っている。
走りの良さや楽しさも評価されたのではないか
筆者はGRヤリスを含め、ヤリスシリーズ全車種の試乗経験がある。GRヤリスについて簡単に言えば、ただ速いだけでなく、ハンドリングも優れており、しかも通常は相反関係にある操縦安定性と操る楽しさを高次元で両立させた、素晴らしいスポーツモデルだと評価している。
しかもヤリスは2017年から世界ラリー選手権(WRC)に参戦し、翌年から3年連続でマニュファクチャラー(製造者)あるいはドライバーのタイトルを獲得している。ヤリスは開発過程でWRCでの経験が生かされており、GRヤリスの参戦はコロナ禍で幻に終わったものの、WRC参戦を前提として開発された。
COTYは欧州も日本も、モータージャーナリストが中心となって選考される。走りの良さ、走りの楽しさが重視されることが多く、レースやラリーへの挑戦は好印象につながる。しかも欧州ではラリー人気が高い。欧州COTY受賞は、走りの良さや楽しさ、WRCに取り組む姿勢も高く評価されたと考えている。