こういった「注意」のムダ遣いを防ぐために、スマホは引き出しやカバンにしまうといったことだけでも、脳は集中しやすくなり、ミスが減ることはもちろん、仕事の生産性が上がります。

<方法その3>脳が「注意」を使わないレベルまで体得する

クルマを運転する方は思い出してほしいのですが、運転し始めた頃は、ハンドル操作やミラーのチェックなど、とにかく運転することだけで一杯一杯だったのではないでしょうか。

助手席の人から話しかけられると、それだけでムッときたり……。それはなぜかというと、運転に慣れていないと、「次は何するんだっけ?」とか、「次、曲がるときにウィンカーを出さなければ……」といちいち意識して行う必要があるので、そこに「注意」を取られるからです。

飯野謙次、宇都出雅巳『ミスしない大百科 仕事は速くてもミスがなくなる科学的な方法』(SBクリエイティブ)
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このように「注意」をいろいろなことに取られて余裕がない状態で、横から話しかけられれば、そちらに「注意」を奪われるため、「話さないでよ!」となるわけです。しかし、慣れてくると、普通に助手席の人と話せたり音楽を楽しめるようになります。

身体で運転の手順を覚えているため、特に「注意」を向けなくても、ハンドルを動かせるし、ミラーも見ることができる。すると、余裕がある分、これまでできなかったことに「注意」が使えるようになるわけです。

「これからは注意しよう」というのではなく、こうやって「注意」のムダ遣いをなくし、向けるべきところに「注意」を向けることがミスをなくすことにつながるのです。

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