ミスを防ぐにはどうすればいいのか。学習コンサルタントの宇都出雅巳さんは「脳が注意できる数は限られており、常にミスを起こす危険がある。たとえばスマートフォンを机の上に置いているだけでもミスの危険が高まる」という――。
※本稿は、飯野謙次、宇都出雅巳『ミスしない大百科 仕事は速くてもミスがなくなる科学的な方法』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
ド忘れ、不注意、勘違いが生じるワケ
「心ここに在らざれば、視れども見えず、聴けども聞こえず、食らえどもその味を知らず」(『大学』より)
「心」在らざれば、すなわち「注意」がなければ、ちゃんと物事を認識すらできません。「注意」がミスをなくすために大事なことはよくおわかりでしょう。
なので、人はミスをすると「これからは注意しよう!」と思いますが、これではミスはなくなりません。なぜならわれわれの脳が持つ「注意」の数に限界があるからです。なんでもかんでも注意を向けられるわけではなく、ヌケ・モレが出てしまうのです。
このことを世界に知らしめた認知科学の実験があります。ハーバード大学の心理学部で行われた実験ですが、何人かの人がバスケットボールをパスし合っている30秒程度の動画を見て、そのパスの数を数えるというものです。
なお、動画には白いシャツを着たチームと黒いシャツを着たチームの2つのチームが登場し、白いシャツを着たチームのパスだけを数えます。あなたがもしこの実験動画を見ていなければ、すぐにできるので、次ページを読む前に今すぐ見ることをお勧めします。