また、必要なタイミングに忘れず「注意」を向けられるような仕組みも有効です。スケジュールアプリなどにある「アラート」機能などはその一例です。さらに、コンピュータ、そして進化の著しいAI(人工知能)を活用して、できるだけ人間を介在させず、そもそも「注意」を向けなくても済む仕組みにしていけば、一気に脳への負荷を下げることができます。

ただ、こういった個々の具体的対策を実行し生かすために、今すぐできることがあります。

そのための方法は次の3つです。

① 脳が「注意」を使っているモノを手放す
② 脳から「注意」を奪うモノから離れる
③ 脳が「注意」を使わないレベルまで体得する

<方法その1>脳が「注意」を使っているモノを手放す

メモを使わず、頭の中で覚えようとしたり、頭の中であれこれ考えているときは、「注意」を使って言葉を記憶し、処理しています。これでは「注意」が足りなくなってしまいます。できるだけ「注意」を手放せるものは手放しましょう。たとえば、気になっていることを「書き出してみる」。パソコンや携帯のメモ帳に入力する、ToDoリストに入れるなど。

すると、「注意」が解放され、実際に頭が軽くなったような気分になるでしょう。こうやって、知らず知らずのうちに「注意」を使っているモノ・コトを書き出していくと、「注意」が解放されて余裕ができるため、向けるべきところに「注意」が向きやすくなり、ミスはしにくくなるのです。

ほかにも、

・気になることは、人に話を聞いてもらって吐き出す
・「やらなければ……」と思っている未完了のことは、完了してしまうか、いつやるかを決めて、いったん手放す
・「これ、やったらいいかも?」と思ったら、すぐ行動する

こういったことも、「注意」を解放し、「注意」に余裕を生み出してミスを減らす方法です。

<方法その2>脳から「注意」を奪うモノから離れる

仕事が大変なときに、わざわざ「注意」不足を招くような環境を私たち自身がつくっていることもよくあります。「注意」のムダ遣いをしないためには、今必要なもの以外は、目に入る場所に置かないことです。

すぐできて効果絶大なのは、まず「スマートフォンを手元に置かない」ことです。

テーブルに置かれたスマートフォン
写真=iStock.com/Farknot_Architect
※写真はイメージです

北海道大学の実験で、机の上にスマホが置いてある状態と置いていない状態で、ある課題を出したところ、スマホが置いてあるときのほうがスピードが落ちたという結果が出ています。

これは1つの象徴的な例ではありますが、スマホがあるとそれだけで「LINEにメッセージが来ているかな」「ああ、あのゲームをやりたいなあ」などと貴重な「注意」を使ってしまいます。