「絶対うまくいく!」と信じられる人だけが成功する
また、とにかくポジティブであれという教えも、「1」と「2」で共通して強調したところ。そもそも桜木建二という主人公は、口が悪くて言い方には難ありかもしれないが、常にポジティブにものを考えろということだけは言い続けている。
「東大なんて簡単だ!」「受験など受かったものだと考えてかかれ」「失敗したときは笑え!」などなど。
絶対にうまくいく、自分にそう暗示をかけていくようなメンタリティを、事あるごとに生徒たちに植え付けようとする。
「もうダメだ……」と言っている人は、本当にダメになる。無根拠だろうと「絶対うまくいく!」とポジティブに自分を信じられる人だけが、成功を手にできる。私はこれもひとつの普遍的な真理だと思う。
『ドラゴン桜』は漫画作品だから、その真理をデフォルメして、ちょっと大げさに表現できる。そこに共感してくれている読者も、きっといると私は信じている。
ヒットを再現するコツは「打席に立ち続けること」
この作品は受験漫画なので、まずは切実な立場にいる中学生・高校生に読んでもらえたら、という思いで描いている。
とはいえ、もちろん大人が読んでくれるのも大歓迎。どんな世代の人であれ、落ち込んだり気が滅入ることは日々たくさんある。そんなときに、桜木や生徒たちの姿を見てすこしでも気持ちをアゲてもらえたら、作者としては何よりうれしいものだ。
「普遍」の「型」を取り入れることで、『ドラゴン桜』はパート1もパート2も好評をいただくことができた。その他にも投資漫画『インベスターZ』、第2次世界大戦中という舞台設定の『アルキメデスの大戦』など、近年だけでも作品を次々世に出すことができているのは幸いだ。
「エンターテインメントの世界で一発当てる人はよく見るが、ヒットを打ち続ける人は稀だ。いったいどうやっているのか」
と尋ねられることもある。その点にコツらしきものがあるとすれば、それはひとことで表せる。
「打席に立ち続ける」こと。それだけだ。