成功の秘密は「型」と「演出」

ひとつの成功を皆で達成するために、多様な過程と試行錯誤を経て、成功まで行き着く。そういう営み自体は人類が何百年、何千年も繰り返してきたこと。そうした「型」を、桜木建二というわかりやすい「導き手」が先頭に立ってたどっていくという構造を、『ドラゴン桜』は内包している。

この「型」は不変にして普遍なものだから、続編でもう一度たどり直したって、飽きられる心配などない。デジタル時代に突入して、勉強法が劇的に変わったというようなトピックは、たしかにパート2でふんだんに取り入れている。だがそうしたエピソードは、普遍的な「型」の上に花開かせる演出に過ぎない。

普遍的な「型」を用いているだけではない。『ドラゴン桜』では、主要なテーマとなる学びや勉強についての考え方も、根幹ではできるだけ不変のものを取り上げている。

例えばパート1に続けてパート2でも強調したのは、

「勉強とは基礎がすべてだ!」

ということ。

ドラゴン桜2』のストーリーづくりには、現役東大生のチームが参加してくれている。受験に勝つための方策として彼らが繰り返し、最も熱心に唱えていたのはやはり基礎の強化だった。

東大生の実体験をストーリーに反映

数学の勉強を考えてみよう。少しでも苦手意識があるのなら、中学校の教科書を引っ張り出してきてイチからやり直してみるのが、成績アップの鉄則である。

現役東大生いわく、それだけで確実に偏差値が5ポイントは上がるという。中学レベルの問題にみっちり取り組んでから、受験レベルの問題へ戻ると、急に視界が開けたようによく理解できるようになるそうだ。

パート2のストーリーでは、東大特進クラスで学ぶ2人の生徒・早瀬と天野が数学力を鍛え直すため、小学2年生レベルの計算問題に取り組むこととした。

漫画的な演出として大げさなことをさせたのではない。本当に効果的な方法はこれだと東大生が提唱してきたものを、そのまま採用して漫画にしたまでである。