段階的にヒントを出す

一方「ボロニアソーセージはフランク、ウィンナー、どっち?」という問題は、難しすぎますし、教えたことの範囲で答えられません。効果測定はあくまで、教えたことの理解度、定着度を測るもの。そういう点で不向きです。

ただし、応用問題を出すこと自体が悪いわけではありません。効果測定をきちんと行ったうえで、「ここからは応用問題になるので、少し考えて答えて」と前置きをして出すならばOKです。それに、そのほうが相手に対してフェアです。

濱田秀彦『仕事を教えることになったら読む本』(アルク)
濱田秀彦『仕事を教えることになったら読む本』(アルク)

なお、「フランク、ウィンナー、どっち?」と聞いた際、相手が「わかりません」と答えた場合、そこですぐに答えを教えてしまうのはもったいない。少し、相手に考えさせます。その際のポイントは、段階的にヒントを出すということです。

例えば、「フランクとウィンナーの境界線は直径何mmだっけ?」と聞いてみて、「20mm」と答えさせ、ホワイトボードに「フランク20mm[?]」と書き「カッコに入る言葉は?」と答えさせ、「以上」というキーワードを引き出し、そのうえで、「以上ということは、20mmは入る? 入らない?」というように詰めていき、答えさせる。そして「入ります」という言葉を引き出して、「だからちょうど20mmはフランクだよね」

と終える。

「段階的にヒントを出す」というのはこういうことです。

「わかりません」という答えを単純に受け入れてはいけない

段階的にヒントを出すのは、できるだけ相手に答えさせるためです。「わかりません」という答えを単純に受け入れてしまうと、相手はよく考えず「わかりません」と言って逃げる習慣がついてしまいます。

また、出題側の問題の出し方がよくない場合もありますし、相手が問題を理解できていないこともあります。そのためにも、答えられなかったら、段階的にヒントを出しましょう。

このように効果測定を行うことで、ティーチングによる知識の理解度、定着度を測ることができ、理解・定着させられていない部分の補強ができます。

ここまでの内容で、ティーチングの手順である

1.動機づけ
2.説明
3.効果測定

について、それぞれどうすればよいかが、わかりました。これらの内容を実践すれば、確実にティーチングによる知識付与は進みます。

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