受け手のモチベーションが上がる導入の仕方

1.動機づけ

動機づけは、これから付与する知識の使い道を示すことで、受け手のモチベーションを上げるものです。例えば、自社の取り扱い商品を教える場面を考えてみましょう。

△いきなり説明パターン
今日は当社の取り扱い商品について説明します。当社の商品はさまざまなものがあります。

このように切り出す先輩社員を数多く見てきました。動機づけがなく、いきなり説明から入っています。ティーチングを受ける側は、これから学ぶ知識が、いつ、どのように役立つのかわかりません。使い道がわからない知識を、一生懸命に理解し、覚えようとは思わないでしょう。

○動機づけから始める
今日は当社の取り扱い商品の覚え方を教えます。いまから言うことを知っていれば、数多くの取り扱い商品を早く覚えられるよ。

このように始まったほうが、受け手の受講モチベーションが上がります。この動機づけのトークパターンは、2つあります。

人が動かされる2つのパターン

パターン1 メリット獲得アプローチ
いまから言うことを知っていると、数多くの商品を早く覚えられる
パターン2 デメリット回避アプローチ
いまから言うことを知らないと、数多くの商品を覚えるのに苦労する

人が動かされるのは「自分が得すると思ったとき」「自分が損すると思ったとき」の2つです。動機づけのアプローチはその2つを使います。

実際のティーチング場面で両方を言うとくどくなりますので、どちらか一方でよいでしょう。どちらかというと、パターン1の「メリット獲得」のほうが、明るく前向きなムードが作りやすいのでお勧めです。

パターン2の「デメリット回避」も同様の効果はありますが、あまりきつい表現をすると脅しになってしまいます。安全教育など、テーマによっては、デメリット回避の動機づけにせざるを得ないものもありますが、そうでない場合は、メリット獲得を多く使うようにしましょう。

動機づけがうまくいくと、受け手が自主的にメモをとるようになります。そのためには、「いまから与える知識を身につけると、どんないいことがあるか」を伝えるのが効果的です。後輩が自主的にメモをとり出したら動機づけは成功。あなたの勝ちだと思ってください。

このように、ティーチングは動機づけから始める。ぜひ、やってみてください。