「ほんとうにわかったか」を確かめる

3.効果測定

「動機づけ」「説明」に続く最後のステップは「効果測定」です。教える側の落とし穴として、「わかったはず」「覚えたはず」と思いたいという心理があります。でも、それは楽観的すぎます。「ほんとうにわかったか」「記憶に残せたか」を確かめる、それが効果測定です。

効果測定には、成果を確認するだけでなく、記憶を定着させるという意図もあります。心理学では、記憶するために、何度も唱える行為を「リハーサル」と呼び、実践することで記憶の再生率が上がると言われています。

「成果が測れ、記憶の定着に役立つ」、そう考えるとティーチングの仕上げとして効果測定があることの意味がわかっていただけると思います。

効果測定の方法としては、インプットした知識をアウトプットさせる方法が最も有効です。単純に「わかりましたか?」と聞いても、あまり意味はありません。よくわかっていなくても、「はい」と答える人もいます。また、誤解したまま「わかったつもり」になっている人もいるでしょう。

そこで、問題を出して答えてもらいます。主な方法は、ペーパーテスト、口頭試問の2つです。

ペーパーテストを作り、多くの問題を出せば、どこまで理解できて、どこが理解できていないか、あるいは覚えられていないかといったことが分析できます。ただ、ペーパーテストを作成する手間はかかります。

そういうことから、職場でのティーチングは口頭試問、つまり問題を話して、相手は口頭で回答するという方式がよくとられます。

効果測定の3つのポイント

ペーパーテストであれ、口頭試問であれ、効果測定を行う際のポイントは次の3つです。

ポイント1 難易度は簡単すぎず、難しすぎず
ポイント2 教えたことの範囲で答えられるように
ポイント3 段階的にヒントを出す

ポイント1「簡単すぎず、難しすぎず」は、問題のレベル設定に関するものです。簡単すぎると効果測定の意味がありませんし、難しすぎると相手は自信をなくしてしまいます。妥当なレベル感を、先ほどのウィンナーとフランクの違いの例で示すと「直径がちょうど20mmだったら、フランク、ウィンナー、どっち?」といったところでしょう。

これが、「フランクとウィンナーの違いは何?」という問題だったら簡単すぎます。また、「直径20mm以上だったら何?」という問題もヒントを出しすぎです。そこで、20mm以上と20mm未満の微妙なラインで問題を出します。

相手が「フランク」と答えても「正解!」で終わるのではなく、「どうして?」とさらに質問します。あいまいな知識のまま、勘で答えたら、たまたま正解だったのかもしれません。そこで、相手が「20mm以上がフランクだから、20mmは入るので」と正確に答えられたら、はじめて真の正解です。