仕事を教えるのがうまい人は、どんなことを心がけているのか。コンサルタントの濱田秀彦さんは「いきなり説明から入ってはいけない。動機づけ→説明→効果測定という3つの手順を守るといい」という――。

※本稿は、濱田秀彦『仕事を教えることになったら読む本』(アルク)の一部を再編集したものです。

書類をチェックしている男女
写真=iStock.com/kazuma seki
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同じことでも「説明の仕方」で受け取られ方は大違い

【ティーチング事例比較】
シーン:オフィス用品商社の先輩社員が新入社員に、自社の取り扱い商品を教える

NGティーチング
今日は当社の取り扱い商品について説明します。当社の商品はさまざまなものがあります。えーと、何から説明しようかな。まず、コピー機やプリンター、関連の商品、それから照明器具のように家電製品に近いもの、それからペンなどの筆記用具、あとファイル製品、もっと言えば段ボールとかも。要するに、オフィスで使うものは何でも扱っているということ。
OKティーチング
今日は当社の取り扱い商品の覚え方を教えます。いまから言うことを知っていれば、数多くの取り扱い商品を早く覚えられるよ。
結論から言うと、早く覚えるには3つの商品分類を理解することがポイント。なぜなら、オフィスで必要なものは、その3つに分類できるから。
その3つとは、1つは事務用品、2つめは作業用品、もう1つは日用品。
これはイメージで覚えるといい。例えば、君たちが資料を作ってお客さんに発送することを想像してほしい。
最初に何をする?
資料を作るよね。パソコンで作ってプリントする。こういう事務作業に使うものが事務用品。
次は何をする?
発送準備だよね。資料を封筒に入れてテープで貼る。こういう作業に使うのが作業用品。
作業したときに紙くずが落ちたらどうする?
ほうきではいたり、拾ったりしてゴミ箱に入れるよね。そういう日常的に使うものが日用品。当社は大きく分けると、事務用品、作業用品、日用品の3つの売り場を持っていると思ってほしい。

あなたが新入社員だったら、どちらの先輩から教えてもらいたいですか?

ただ、NGなティーチングをしている先輩社員も知識は豊富なはず。本稿では、知識をうまく相手に移転するためのロジックやメソッドを紹介することで、あなたもよいティーチングができる先輩になれるように進めていきます。

「教える」には順番がある

教える方法は、知識を教えるティーチング、技術を教えるトレーニング、意識を高めるコーチングの3種類があります。

本稿では、教え方の基本になるティーチングのコツをご紹介します。

ではティーチングの手順から見ていきましょう。

ティーチングの手順

どんな知識であれ、ティーチングは次の手順で進めます。

1.動機づけ→2.説明→3.効果測定

ティーチングは「説明」が中心ですが、それだけではありません。前に動機づけ、後ろに効果測定をもってくることで完成します。

動機づけは受け手のモチベーションを上げるために行う「前説明」、効果測定は知識の理解度や定着度を確かめるための「テスト」のようなものです。説明の前後にこれらを加えることで、効率よく知識が付与できます。では、それぞれのポイントを見ていきましょう。