医療関係者480万人、入院患者120万人の接種を急げ

感染者が増え、病床のひっ迫が問題になっているにもかかわらず、医療従事者への接種を急がないというチグハグさはいかがなものか。あまりに現場の感覚やニーズと解離している。ワクチンの供給もしてないのに、「病床だけ増やせ」と命じているとしたら、それはもう独裁者同然であり、それに協力する者など現れるわけがない。

病床を有効に活用するためには、入院患者のワクチン接種も優先すべきだ。これが終わっていれば、コロナ感染患者を入院させても、これまでの入院患者の感染や重症化をおおむね防げるので、はるかにコロナ感染患者の受け入れが容易になる。

それによって家族の見舞いや付き添いも可能になるはずだ。実はこのメンタルの効果は大きく、入院患者の入院日数を減らすことでさらに病床に余裕が出る。

ところが、こんなに医療関係者のワクチン接種が遅れているのに、高齢者の接種は始まった。これは医療関係者の、とくにコロナに積極的に対応している医療関係者の士気にも影響を与えかねない。医療関係者480万人と入院患者120万人の接種を急ぐことのメリットは大きい。

2回目のワクチン接種後、38度以上の高熱を出す医師が21%

一方で、ワクチン接種に関しては気になる話もある。早くも2回目の接種が終えた知人の医療関係者(2人の内科医と病院事務職員)は「副反応が意外に多い、とくに2回目の副反応が大きい」と言う。

一般的には、副反応としては筋肉痛などがよく知られているが、39度前後の熱が出ることもあるそうだ。発熱後1~2日で、ほとんどのケースは平熱に戻るようだが、2度目の接種の際は翌日が休みになるようなシフトを組む病院もあるという。私が直接聞いた複数の医療関係者によれば、10人に1人くらいの割合で39度クラスの高熱がでるとのことで、「特に2度目を受ける際は翌日何もない日にしたほうがいいよ」とアドバイスも受けた。

新型コロナワクチン投与開始初期の重点的調査(コホート調査)中間報告
「新型コロナワクチン投与開始初期の重点的調査(コホート調査)中間報告」(厚生労働省)

※編集部註:4月9日に発表された、ファイザー製のワクチンを接種した医療従事者約2万人を対象に実施した副反応調査「新型コロナワクチン投与開始初期の重点的調査(コホート調査)中間報告」(厚生労働省)では、1回目よりも2回目に発熱や全身倦怠感、頭痛の症状が出た人の割合が大きかった。発熱に関しては、2回目は37.5度以上の発熱が38.1%(1回目3.3%)で、そのうち38度以上は21%を占める。2回目接種後に37.5度以上の発熱が出たのは、20代で約50%ともっとも多かった。

39度の熱が高齢者に出た場合、その苦しさに耐えられず死亡するケースも出かねない。約3600万人いる高齢者のうち、仮に10%に39度の発熱がでるとすれば360万人である(5%で180万人、1%でも36万人)。体力のない人たちの多くが亡くなったり、入院したりするケースが相次ぐ恐れがある。

医療関係者にまず接種して、副反応の分析をきちんと行い、とくに高齢の医療関係者の動向を見てから、一般の高齢者の接種を始めたほうが安全なのは確かだろう。