ちなみに、「ホストタウン」への登録申請が内閣官房により承認され、一定の交流行事を実施すると、かかった費用のおよそ半額が国から追って交付される仕組みとなっている。3月30日時点で、登録する自治体数は525に達しているほか、受け入れる相手国・地域数も184(IOC加盟の国・地域は206)となっている。昨年春にオリパラの延期が決まった後もホストタウンに登録する自治体は増え続けている。

「合宿中止」がドミノ倒しのように増える

選手らを地元自治体まで呼び込むには厳しいコロナ対策が求められるため、ホストタウン事業については、極端に縮小した形でも実施したと認められそうだ。

競技場
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政府は4月6日、ホストタウン事業について、オンラインを活用した間接的な交流促進を求める方針を決めた。言い換えると、各自治体に招いて選手らとの直接面会が叶わなくても「交流した」と見なすこととなった。

これについて政府関係者は、「ホストタウン交流における『事前合宿』は活動の一部であり、必須要件ではない」とした上で、「継続した交流を行う自治体を引き続き応援していきたい」との考えを示している。

選手が来なくてもホストタウンとして認められ、かつ交付金も支給されるなら、全国の自治体の間で事前合宿中止の流れがドミノ倒しのように増えてきそうだ。

いったい誰が責任を取るのか

では、「事前合宿ができないなら、五輪を辞退する」という選手は出てくるだろうか。

先に述べた通り、事前合宿の主な目的は「時差ボケの解消と最終調整」だ。強豪国はいずれも4~5年前から日本側の競技関係者や施設管理者と接触し、自国選手により適した合宿用施設の確保にしのぎを削ってきた。

それが日本での滞在が選手村での5日間のみに抑えられてしまったら、選手によっては「コンディションを整えるのが難しい」と考えて、出場を断念する可能性さえある。

また仮に、合宿をせずに五輪に臨むチームがいたとしても、行き場所がなくなる選手らを救済する方針はどこからも示されていない。「たかが自治体の行事だから無くなったところで影響なんて微々たるものだろう」などと考えているのであれば、あまりに無責任だろう。

東京五輪は「開幕100日前」までなんとか引っ張ってきた。しかし、選手らにとって本来のパフォーマンスが出せない状況が膨らんでいくのは致命的だ。合宿中止によって出場を断念するチームや選手が続発したら、いったい誰がどう責任を取るのだろうか。

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