政府関係者は「合宿が実施できそうな自治体を把握することは現時点では大変だ」と言う。

「予選大会の延期などで出場選手が決まらず、相手国もなかなか訪問予定が決められない。オファーは出していても具体的な返事が得られていない自治体も多い」と説明。「コロナの影響の有無にかかわらず、予選の敗退、合宿先の変更などを理由に相手国から辞退の申し入れが来る可能性が残っている」と話す。

14日間の自主隔離が免除されているが…

本来、外国から日本に到着した旅客は、基本的に「14日間の自主隔離」が求められる。しかし、オリパラ本大会に参加する関係者らは「特例」として、隔離を免除される可能性もある。現状では最終結論が出ていないが、事前合宿実施を予定するチーム関係者も同様に隔離免除となる可能性が高い。

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合宿先の自治体は、合宿と関係のない一般市民らとの接触一切を隔絶するよう工夫を行うことが国から求められている。しかし、五輪代表選手とはいえ、こうした「コロナにかかっている可能性がある外国人がわが街にやってくる」という状況を一般市民が許容し得るのだろうか。

心配なのは、選手と一緒に活動する自治体関係者をはじめ、ホテルや練習会場のスタッフらへの感染だ。計画によると、こうした「チームに関わる人々」には数日おきにPCR検査を行い万全を期すという。しかし、自治体職員らが合宿中に選手らと関わる一方で自宅や職場などにも出入りしているうちに、いつしかウイルスを一般市民の空間に持ち込んでしまったらどうなるのだろう。想像するだに恐ろしい。

議論は中断、でも登録は増え続けている

一方、事前合宿がない格好でのオリパラ関連交流プログラムも存在する。これは「ホストタウン事業」と呼ばれるものだ。旗振りを行う内閣官房によると、「スポーツ立国、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等に資する観点から、参加国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体をホストタウンとして登録する」といった定義がなされている。

政府と組織委員会、東京都は、出入国管理や検査医療体制、会場運営等を総合的に検討・調整する場である「新型コロナウイルス感染症対策調整会議」を定期的に開いている。2020年12月までに計6回が実施された。

ところが、年初の緊急事態宣言発令以降、外国人の入国がほぼ不可能になったこともあり、オリパラ関連の選手受け入れに関する論議が中断。前述の「アスリートトラック」の運用も停止されており、調整会議は今年に入ってから一度も実施されていない。