「脳に甘いものがいい」は正しいか?

ダイエット中など、甘いものがNGであることはわかっていても、「甘いものを食べないと脳が働かないから」などと言い訳をして、つい口にしてはいませんか。

でも、これは間違った知識です。

糖質は「脳のエネルギー源」として知られていますが、糖質を摂取しなくても、私たちの体は脂肪を分解して、「ケトン体」という脳を働かせるためのエネルギーを発生させるので、“脳のために”たくさんの糖質を摂る必要はありません。

逆に、過剰な糖質の摂取が脳にダメージを与える可能性があることは、ここまでお話ししてきたとおりです。

ケトン体は「脳の第2のエネルギー」ともいわれています。意識して糖質を制限している人たちのなかには、エネルギー源としてケトン体を利用するようになったことで、「(糖をエネルギー源としていた頃より)頭がスッキリして、イメージ力や記憶力がアップした」と話す人も多くいます。

糖質を控えて「第2のエネルギー」を活用

さらに、ケトン体は、単にエネルギー源としての役割だけでなく、臓器の障害を防ぐという貴重な働きを担っている可能性のあることがわかってきました。

2020年7月、滋賀医科大学の研究グループが、糖尿病によって引き起こされる腎臓の障害(糖尿病性腎臓病)の進行がケトン体によって抑制されている可能性があるとする研究結果を、世界で初めて報告したのです。

糖質を控えてケトン体を第2のエネルギーとして意図的に活用するほうが、脳にも臓器にも良い可能性があるというわけです。

肉の脂のとりすぎで血管ダメージが加速する

血管を老化させる食品として、「甘いもの」や「主食」と同様に注意が必要なのが「肉類」です。

近年、日本人は魚を食べる機会がすっかり減ってしまいました。

農林水産省の「食料需給表」によると、食用魚介類の1人1年あたりの消費量は2001年度をピークに年々減り続け、18年度にはピーク時の約6割にまで減少してしまいました(「水産白書」令和元年度版より)。

私のクリニックに来院される、動脈硬化の患者さんたちにその食生活を尋ねると、必ずといっていいほど「肉」中心の食事になっています。ほぼ毎食、肉を食べているという方も珍しくありません。