常温で固まる脂が動脈硬化を進める一因に

肉に偏った食事で血管が老化してしまう理由は、肉のあぶらに含まれる脂質の主成分である「脂肪酸」の種類にあります。

脂肪酸は、牛肉や豚肉、鶏肉などに多く含まれる「飽和脂肪酸」と、魚介類に多く含まれる「不飽和脂肪酸」に分けられます。飽和脂肪酸は常温で固まる脂(固体)、不飽和脂肪酸は常温でも固まらない油(液体)です。

飽和脂肪酸は大切なエネルギー源ですが、摂りすぎると肥満や、「悪玉」といわれるLDLコレステロールの増加を招き、動脈硬化を進める一因になると考えられています。

一方、不飽和脂肪酸は、LDLコレステロールを減らしたり、中性脂肪値を下げたりする働きがあります。ただし、不飽和脂肪酸にもいくつかのタイプがあり、それぞれ特徴があるので注意が必要です。

おなかの贅肉
写真=iStock.com/TomFoldes
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積極的に摂りたい「オメガ9系」

不飽和脂肪酸は、「一価不飽和脂肪酸」「多価不飽和脂肪酸」に分かれます。

一価不飽和脂肪酸は、別名「オメガ9系脂肪酸」あるいは「n-9系脂肪酸」とも呼ばれ、オリーブオイルなどに豊富に含まれる「オレイン酸」がその代表です。

「善玉」といわれるHDLコレステロールに影響することなく、悪玉のLDLコレステロールを減らすため、動脈硬化の予防に役立つと期待されています。熱にも強いので、ドレッシング以外の加熱調理にも大変重宝する油です。

なお、最近では、スーパーなどで販売されている油にも、「オメガ○系」や「n-○系」という表示が見られるようになりました。これらは、脂肪酸を元素の単位で見たときに、炭素の二重結合が何番目から始まっているのかで分類したものです。

意味を理解する必要はありませんが、油を選ぶ際の目安にするといいと思います。