「メタボの36歳」から一念発起。体脂肪率10%、血管年齢28歳を実現し、そして、58歳を超えた今もその状態をキープ……。テレビでもご存じ池谷敏郎医師が、40代で急速に進む「老化」を回避し、血管年齢はもちろん、見た目まで劇的に若返る方法をまとめたセブン‐イレブン限定書籍『内臓脂肪を最速で落とし、血管年齢が20歳若返る生き方』を刊行。同書より、その一部を特別公開する──。(第2回/全2回)

※本稿は、池谷敏郎『内臓脂肪を最速で落とし、血管年齢が20歳若返る生き方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

脳にダメージを与え、認知症のリスクを高める「高血糖」

人生100年時代を迎えています。「認知症にはなりたくない」と誰もが望んでいると思います。ところが近年、患者数が急激に増えていて、2015年の厚生労働省の発表によると、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症を発症するといわれています。

糖尿病が認知症のリスク要因になることは、多くの研究で報告されています。とくに、食後高血糖が認知症の発症と強く関連することがわかっており、糖尿病に至る前の予備軍の段階から認知症の危険性が高まると考えられているのです。

高血糖が脳へのダメージや認知症につながると考えられる原因のひとつが、動脈硬化です。脳の血管で動脈硬化が進行すると、血管内腔が狭くなって脳の血流が停滞します。さらに、動脈硬化によって血管内壁に生じたコブが傷つけば、そこに血液のかたまりである血栓けっせんが生じて血管を閉塞し、「脳梗塞のうこうそく」を発症します。

ホワイト キューブ
写真=iStock.com/Kateryna Novikova
※写真はイメージです

また、動脈硬化は血管壁をもろくするので、内圧に耐えられず脳の血管が破れて出血することもあります。これが「脳出血」です。脳梗塞や脳出血は脳の細胞を障害するので、認知症の原因となるのです。

このように脳の血管のトラブルで発症する認知症が、「脳血管性認知症」です。

「脳のゴミ」で認知症に…

高血糖が認知症のリスクを高めるもうひとつの理由として、インスリンの過剰分泌が考えられています。

認知症には、脳血管性認知症のほかに、認知症の原因のおよそ70%を占めるといわれる「アルツハイマー型認知症」があります。

アルツハイマー型認知症は、「脳のゴミ」とも呼ばれる「アミロイドベータ」というたんぱく質の一種が蓄積することで発症します。このアミロイドベータを分解してくれるのが体内の酵素ですが、実はこの酵素は、インスリンを分解する働きもになっています。

つまり、高血糖状態が続いてインスリンが多量に分泌されると、インスリンを分解するために酵素がどんどん使われてしまい、アミロイドベータの分解に働く分がなくなってしまいます。その結果、脳内にアミロイドベータがどんどん蓄積されて、脳の働きを悪くしてしまうのです。