恋人時代のパラメーターは結婚後には引き継がれない
ロールプレイングゲーム(RPG)を例に説明しましょう。「ドラクエ(ドラゴンクエスト)1」のゲームをクリアします。その続編の「ドラクエ2」を始めますが、「ドラクエ1」の経験値、レベル、装備などは、「ドラクエ2」には全く引き継がれない。それと同じです。
ただ、人生の「ドラクエ1」は、「1人プレイ」ですが、人生の「ドラクエ2 結婚生活編」では、パーティの仲間が1人増えて、「夫婦2人」でのプレイになるのです。手強い敵を倒して経験値を手に入れる。「経験値」は愛情であり、オキシトシン的幸福です。たいへんな出来事を一緒に乗り越えることで、愛情が深まるというわけです。
多くの夫婦は、結婚した時点で「愛情」というパラメーターがピークになっていると、勘違いしています。人生の「ドラクエ2 結婚生活編」において、「経験値」が初期化されてしまったことに気付かないまま、パートナーに様々な欲求をぶつけあうので、途端に夫婦関係の雲行きがおかしくなるのです。
オキシトシン的幸福とドーパミン的幸福を掛け算する
『精神科医が見つけた 3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法』における「幸せになる方法」――それはセロトニン的幸福、オキシトシン的幸福、ドーパミン的幸福の「3つの幸福」を組み合わせ、そして掛け算によって増やしていこう、という戦略です。
何か目標を達成して、それをクリアするとドーパミンが出る。また何か試練や問題が起こって、それを乗り越えるとドーパミンが出ます。「やった、乗り越えられた!」と思ったら、また大変なことが起こって、それを乗り越えて、「やった、ドーパミンが出た! また頑張ろう」という気持ちになる。このように、「小さな課題」という階段を一段ずつ昇っていく。それは、「ドーパミンの階段」であり、「自己成長の階段」となるのです。
夫婦生活とは、夫婦で一緒にドーパミンの階段を昇ること。オキシトシン的幸福は、「人生のクエスト」「人生の階段」を昇るための経験値であり、エネルギーであり、武器でもあるのです。
互いに相手を尊重し、協力し、夫婦それぞれが自己成長することで、オキシトシン的愛情を強め、オキシトシン的幸福を手に入れていく。結果として、ドーパミン的幸福までも手に入れる。これが、私の考える幸せな結婚生活です。