日本のプロレス界から打診された「極秘プロジェクト」
WWEをおん出てホームタウンのミネアポリスでのんびりしていたホークに、旧友のマサ斎藤から連絡が入った。ロード・ウォリアーズとまったく同じコンセプトのタッグチームを日本のリングでプロデュースするという“極秘プロジェクト”だった。
新しいパートナーは、売りだし中の若手だった佐々木健介。アメリカ人レスラーと日本人レスラーによるロード・ウォリアーズのようなタッグチーム。マサからのリクエストは「ニュー・ロード・ウォリアーズをやってほしい」とのことだったが、ホークは「ロード・ウォリアーズの続編ではなくて、まったく新しいサムシングなら」と返答した。
タッグチームの名は六本木のバーで決まった
チーム名が決まらないまま日本にやって来たホークは、ある夜、六本木の行きつけのバー“ミストラル”のカウンターでひとりでビールを飲んでいた。それほど広くない店内では、聞きおぼえのあるボーカルのあまり聞きおぼえのない曲がかかっていた。すごく気になる音だった。ホークはバーテンダーにこうたずねた。
「いまかかってるこの曲、これはブラック・サバス?」
バーテンダーはこう答えた。
「オジー・オズボーンですね」
「オジー・オズボーン? なんて曲?」
バーテンダーはまた答えた。
「オジーの新しいアルバムに入ってる曲。“ヘルレイザー”ですかね」
ロード・ウォリアーズの入場テーマ曲は伝説のロックバンド、ブラック・サバスの名曲“アイアン・マン”で、いまかかっているこの“ヘルレイザーHellraiser”は、ブラック・サバスを解散後、ソロシンガーになったオジー・オズボーンのいちばん新しい曲。“アイアン・マン(鋼鉄の肉体を持った男)”はロード・ウォリアーズのイメージそのもので、“ヘルレイザー”はトラブルばかり起こすワイルドな男、厄介者、やんちゃ坊主といったニュアンスだ。ホークは「これだ!」と直感した。