性格的には正反対だったホークとアニマルの絆

ホークとアニマルは、性格的には正反対だった。ホークはナイトクラビングが好きで、ツアーに出るといつも朝まで遊びほうけていた。アルコール類はなんでもたくさん飲んだし、思いつく限りのありとあらゆる化学物質を体にぶち込んだ。アニマルはドラッグはいっさいやらなかったし、お酒も控えめで、早寝早起きだった。兄弟みたいに仲がよかった時代もあるし、あまり会話を交わさない時代もあった。

あっというまというわけではないけれど、ホークとアニマルは20年という歳月をいっしょに過ごした。ウォリアーズはこの世にふたりしかいない。ナンバーワンでありつづけるよりも、オンリーワンであることのほうが大切なんだと考えるようになった。

ふたりはいつのまにかベスト・フレンドになっていた。アニマルが「あしたも早いから外出するのはやめようぜ」といえば、ホークは「じゃあ、オレは一杯だけ飲んでくる」と答えた。たったそれだけの会話でふたりはおたがいのことをちゃんと理解することができた。

生まれてはじめて聖書を読んだ

ホークは、何度も死にはぐってはそのたびに命拾いした。試合後、ドレッシングルームで倒れ、脱水症状で意識不明になったことがあったし、ホテルの自室でいきなり心臓が止まったこともあった。

親しかったレスラー仲間のうちの何人かが若くして天国へ召された。ハイスクール時代からの友だちで“シャーキー道場”の同期だったリック・ルードはドラッグのオーバードースで帰らぬ人となった。テリー・ゴーディは、心臓にできた血栓が原因で眠ったままこの世を去った。デイビーボーイ・スミスは、心臓マヒでいきなり旅立った。ホークに「そんな生活をしていたら……」といつも親切に忠告してくれた“ミスター・パーフェクト”カート・ヘニング――プロレスラーになるずっとまえのティーンエイジからの友だち――はある朝、ツアー先のホテルのベッドの上で息をひきとった。

30代の終わりにボーン・アゲイン・クリスチャンになったアニマルは、ある日曜の朝、ホークを教会に連れていった。牧師はかつてのライバルで、同じミネアポリス出身の元プロレスラーのニキタ・コロフだった。

ホークは生まれて初めて聖書を読んだ。どのページを開けても“自分みたいな男”が出てきた。ホークは神にめぐり逢い、生きることにどん欲になった。ホークより3歳年下のアニマルはちょっとだけ安心した。