エラくなれた女たちの間に走った激震
「このままでは古くなる」。
今回、山田・前内閣広報官のバッシングと辞任に際して、いま既にある程度のポジションまで来ている40、50代の働く女たちの間に、自己反省の激震が走ったのはとても興味深い反応だった。
なぜって、「名誉男性」は60代や70代のレジェンド級の女性の話だけではない。自らのオジサン化を自虐的に誇ったり、オジサンたちに可愛がられ、酒や食やゴルフを教えられ、うまいことその間を泳いだりして組織で生き残ってきたような女たちが、これは自分たちの問題でもあると気づいたのだ。
「自分たちの中にも実のところ十分にある素質ではないのか。私たちもまた、あれほど嫌っていた『名誉男性』になりかけてはいないか」と、ある人はブログに綴り、ある人はSNSで問いかけた。流行りはじめのClubhouseで、それをテーマに話し合う人たちもいた。
「飲み会を断らないことを自慢するだなんて、昭和の習慣。終わってる」と強い口調で責めることができるのは、何かと引き換えにして飲み会を断ってきた女たちや、あるいは仕事のつきあいの飲み会を敬遠する若い世代の、むしろ特権だ。胸に手を当てて、自分にそんな「迎合」や「妥協」や「忖度」の記憶など一筋もないと言える人は、きっとこれまで辛酸を味わってきたことだろう。
「闘わない」という闘い方を選んできた日本女性。オジサンの方を向いて、オジサンたちに受けることで出世してきた女たちの中から自発的に生まれた反省。自分たちのやり方も、すでに古くなりかけている。このままでいいの? 男ばっかりじゃなくて、私たち女も変わらなきゃいけないんじゃないの?
これはいわば日本版の#MeTooだ、と海外から鋭くも指摘したジャーナリストがいらっしゃるが、その通りだと感じている。