温泉やスキーを楽しみつつ在宅テレワーク

最初の緊急事態宣言でも、2度目の緊急事態宣言でも、政府は出勤者の7割削減を目指してテレワーク推進を企業、経済団体に要請した。緊急事態宣言が解除されて感染拡大が落ち着けば、多少の揺り戻しはあるだろうが、それでもテレワークの推進、出勤者の削減はウイズコロナ時代の努力目標として定着する可能性が高い。

我々の会社BBTでは出社率は2割程度だが、日本の企業社会全体として3~4割ぐらいまで進むのではないだろうか。仮に出社率4割とすると週に2日。たとえば月曜日と金曜日だけ出社すればいいとなれば、熱海のように新幹線で1時間(東京駅から約46分)エリアは、居住用としてもテレワーク用としても十分射程内に入ってくる。

上越新幹線でいえば、東京から約70分の越後湯沢でも動きが出ている。越後湯沢といえば、80年代にリゾートマンションが一気に建設されたが、バブル崩壊とスキー人口の減少によってマンションの資産価値が下がり、一部マンションでは管理費が支払われなくなって管理人もいなくなりゴースト化した。地元の不動産屋で物件ファイルをめくると、「無料」と書かれた物件が何ページも出てくる。これは未納の固定資産税と管理費約20年分(約650万円)を払ってくれれば物件自体はタダで持っていけ、という意味だ。

越後湯沢は空き家情報を出したり、移住者に住宅取得補助金や家賃補助金を交付するなど、町としても移住者を呼び込んで定住人口を増やす努力を行ってきたが、20年夏場ぐらいから不動産が動き始めて、地元の新聞やテレビでも報道するようになった。越後湯沢で温泉やスキーを楽しみつつ在宅テレワークというと、アメリカ・ニューヨークのビジネスパーソンがコロラドに移ってオフを満喫しつつSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)をやるようなイメージに近い。

北陸新幹線なら東京から約70分で軽井沢。さすがの人気で、20年夏頃には5000万円以下の中古別荘の在庫がほとんどゼロになった。

ちなみに、東北新幹線では那須塩原が東京から約70分だが、転入者が増えているとか、不動産が上がっているという話はなぜかあまり聞こえてこない。