心のモヤモヤを解消するには、なにをすればいいのか。エグゼクティブコーチの吉田典生氏は、「『ジャーナリング』という手法がおすすめだ。一定時間、あるテーマについて自由に書き続ける。まずは5分間、試してみてほしい」という——。
ノートにメモを取る女性
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「一人で」「手軽に」自己と向き合える

ワクチン接種の動きはあれど、しばらく続きそうなコロナ禍。「テレワークをしているが、集中力が途切れてしまう」「外出自粛で友達と会えずモヤモヤ」「漠然と将来が心配」……。そんな悩みを抱えている方に私がお勧めしたいのが、“ジャーナリング”です。

ジャーナリングとは、一定の時間、与えられたテーマについて頭に浮かんだことを紙に書き出し、それを読み返す(フィードバックする)ことで自己理解を深めるワークのことで、“書くマインドフルネス”とも呼ばれています。「テーマ」と「手を動かし続ける」という2つのことに注意を留め、意識が他のことにそれたことに気づいたら、再び戻って書き続けます。

アメリカではIT企業を中心に活用が進んでいて、Facebook社COOのシェリル・サンドバーグ氏が著書『OPTION B 逆境、レジリエンス、そして喜び』(日本経済新聞出版)の中で夫を亡くした時にジャーナリングを使って立ち直ったことを発表しているほか、Google本社のリーダーシッププログラムにも採用されています。

ジャーナリングの最大のメリットは「一人で」「手軽に」自己と向き合えることです。カウンセリングやコーチングを受けるとなると、必ず他人に自己開示しなければなりません。他人を前にすると少しはかっこつけたり構えたりしてしまうものですが、ジャーナリングは一人で行うのでより気軽に自分をオープンにできます。「自分はこんなことを考えていたのか」「こんなことを感じていたのか」と自力で気づくことができる。つまり、自己認識を一人で深めることができるのです。

お題はポジティブなものを選ぶといい

ジャーナリングを行うためには、まずお気に入りの筆記用具を用意してください。専用ノート、専用のペンを用意するのがお勧めです。私はいつも2Bの鉛筆を使っています。筆圧が強いのを気にせずさらさらと書けるからです。手を動かすことが重要なので、PCやスマホに文字を打ち込むのはお勧めしません。

ジャーナリングに詳しい吉田典生氏
ジャーナリングに詳しい吉田典生氏

次に、「問い」と呼ばれるテーマを立てます。自分の心が動くことや興味を持っていることからポジティブなものを選んでください。ただし、最初から自分で問いを立てるのは難しいので、今回は拙書『「手で書くこと」が知性を引き出す 心を整え、思考を解き放つ新習慣「ジャーナリング」入門』(文響社)で例として挙げている、「ドラえもんのポケットを持って1年間生きられるとしたら」という問いでやってみましょう。