提携先の9割は脱サラ農家

そうした地道な支援によって、創業から10年で提携先の農家は250軒以上に増えた。そのうち9割は、親が農家ではない、脱サラして農家を始めた生産者だ。

京都府・亀岡市の「やまのあいだファーム」
撮影=佐藤新也
京都府・亀岡市の「やまのあいだファーム」(クリックで他の写真も表示)

また就農を希望しているが、「どうやって一歩を踏み出せば良いかわからない」という人たちのために、2013年に自社農場「やまのあいだファーム」の運営も始めた。

京都府の亀岡市にある「やまのあいだファーム」では、「不耕起栽培」といって、畑の土を耕さずに自然のままで農産物を育てる実験農業を行っている。あわせて、畑を耕すかたちの、一般的な有機農業を行う圃場もある。新規就農を希望する人は、いきなり農地を借りたりする前に、「やまのあいだファーム」を訪れることで自分の好みに合った営農スタイルをリアルに考えることができる。

森林伐採の減少や山間地での雇用を生むコーヒー事業

新規就農者の「仲間」を増やす努力とともに、新たなビジネスへの挑戦も続けている。その1つが「海ノ向こうコーヒー」と名付けた、ラオス、ミャンマー、バリ、タイなどの東南アジアの国々で生産されたスペシャルティコーヒーの事業である。

「それらの国々は森林減少や若者の地方から都市部への流出、農作物の国際的な価格競争など、さまざまな問題を抱えています。コーヒーという付加価値が高い農産物を作って売ることで、環境や現地のコミュニティに配慮しながら、森林伐採の減少や山間地での雇用を生み出すことがコーヒー事業の目的です。いまはコロナ禍でなかなか訪れることができませんが、産地には定期的にうちのスタッフが訪れ、栽培方法や生産プロセスの見直し、新品種の導入などのサポートを行っています」

コーヒー事業はまとまった量の取り扱いがなければ収益が生まれないことから、これまでは主に焙煎所やカフェなど法人を対象にしていたが、最近になって事業が安定したこともあり、個人向けに定期的にいろんな産地のコーヒーとそのストーリーが届く「産地を旅するコーヒー定期便」もスタートした。野菜を定期購入していた家庭が、注文してくれるケースも増えている。