「寝たきり」を防ぎ、最期まで元気に過ごすためにはなにが重要なのか。細菌学者の辨野義己氏は「健康寿命を延ばすには、腸内細菌のバランスを整えるための食生活が重要。おすすめなのは加熱した野菜で、なかでもサツマイモは腸内環境を良くする理想の食べ物だ」という――。
※本稿は、辨野義己『「腸内細菌」が健康寿命を決める』(インターナショナル新書)の一部を再編集したものです。
腸内環境への関心が高まりテレビ出演
2001年つまり21世紀になってから私の研究生活に、ちょっとした変化が起きました。
メディアの人たちの仕事に協力する機会が、どんどん発生し、急速に増えていったのです。それもテレビという巨大マスメディアの番組制作に監修協力したり、ときには専門研究者として出演したり、現場取材に同行したりする機会が多くなりました。
テレビ番組が腸内環境を取り上げるようになったのは、多くの人が腸内環境に関心を持つようになったからでしょう。テレビ番組の制作に協力するのは一回きりではなく、何度も毎週のようにありましたから、この関心の高さは一過性のものではなく、多くの人が腸内環境についての生活の知恵を必要としているからだと思いました。
もともと日本語には「快食快便」という言葉が示すように、美味しく健康的に食事をして、すっきりとウンチをして、日常生活をリズミカルに気持ちよく暮らすという理想の考え方がありました。これは万人の願いですから、消化器への関心が、大昔から強かったということだと思います。
テレビ番組と取材調査に行ったのは「寝たきり期間が短い村」です。大分県の姫島でした。瀬戸内海西端の小さな島です。当時の人口は2000人ほどでした。姫島は大分県の医者たちから「謎の島」と呼ばれていました。何が謎かといえばお年寄りが寝たきりになって亡くなるまでの期間がとても短いからです。要するに健康寿命が長いのです。