聞き手にとって「自己紹介」や「決意表明」は退屈

② 部下たちに「覚えておいてもらいたいこと」だけを話す

初日の挨拶では、あれもこれもとたくさん伝えたいことをつい盛り込んでしまいがちです。しかし、伝えたいことはとことん絞り込むのが正解です。部下たちに「覚えていてもらいたいこと」だけを話す、というポイントを忘れてはいけません。

林健太郎『できる上司は会話が9割』(三笠書房)
林健太郎『できる上司は会話が9割』(三笠書房)

部下たちが、新しい上司から聞きたいことって何だろう? そんな問いかけに答えるような内容を厳選するのです。「相手目線」に立った発言内容にチューニングしていくイメージです。上司の心情としては、初日の挨拶の中でつい「自己紹介」や「決意表明」をしたくなるものですが、聞き手のメンバーにとっては意外と退屈だったりします。

もし部下たちの「新しい上司に聞きたいこと」ランキングがあったら、これらの項目はおそらく下位に埋もれるでしょう。

それでは、部下が新しい上司にもっとも聞きたい話は何でしょうか。それを知るには、自分が部下だったときの経験を思い出したり、他の人にインタビューするなどして探っていく必要があります。一方的に自分の主張をするのではなく、相手が聞きたいと思うことを察知して伝える。そのための事前準備は怠らない。そんな姿勢が求められているのです。

部下から評判がいいのは「未来志向」の話

私がコーチングした上司によると、部下から評判がいいのは「未来志向」の話だそうです。つまり「これから自分は『どんなチームをつくろうとしているか』」が伝わる話をする。

新しい上司が何を目指しているのかがわからないままでは、部下たちはどこに進んでいいかがわからず、不安を感じます。その不安を初日の挨拶で解消するのです。

上司の最初の仕事として、これ以上に重要度の高い仕事はないかもしれません。

Answer:「自分が言いたいこと」よりも「部下が聞きたいこと」を話す
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