無駄な報告書づくりや会議など、不要な仕事を増やしてしまうような上司はいませんか? 中間管理職の本質を見極め、数々の大事業を成功に導いてきた佐々木常夫さんは、「不必要な管理職ほど、不必要な仕事を一日中続けて、それを部下にも強要します」と指摘します。今、本当に必要とされる1割の管理職とは――。
※本稿は、佐々木常夫『9割の中間管理職はもういらない』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。
必要な中間管理職とは
これまで9割のいらない中間管理職について述べてきましたが、今度は逆に残りの1割の必要な中間管理職についてお話ししたいと思います。
私の経験上、やはり必要で使える中間管理職とは、部下のエンゲージメントを高めることができる人物だといえます。
個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献し合えるような関係をエンゲージメントと呼びますが、それを高めることは、個人にも組織にも貢献できることなのです。
そして、これは、実際に現場の部下たちと直接触れ合うと同時に、組織を運営するさらに上の管理職とも接している中間管理職だからこそできる仕事だと、私は考えています。
管理職に必要な3つのスキル
エンゲージメント力を高めるために中間管理職に求められるのは、私はリーダーシップ力だと思います。ここでいうリーダーシップとは、人の行く道、行く末、目標を決めて、そこへ人々を導けるような人、つまり組織を先導できるような人のことを指します。
それではリーダーシップ力がある人というのは、どんなスキルを持っているような人を言うのか。
ひとつは「クリティカル・シンキング」、問題の本質を正しく把握できること。問題の本質とは、なにも部下とか上司とか、取引先のことだけでなく、自分の仕事の本質も正しく理解できる、自他を分析的・批評的に見ることができるスキルを持っていることです。
ふたつ目は「クリエィティブ・シンキング」を持っていることです。これは、問題の本質を見極めたうえで、問題解決のためのアイディアを出せるスキルを指します。
そして、最後に最も重要なのが、コラボレーションのスキル、コミュニケーションのスキルがあることです。