異動先や転職先での初顔合わせ。相手の記憶に残る挨拶をするためには、どうすればいいのか。リーダー育成家でプロコーチの林健太郎氏は「聞き手にとって、挨拶の内容は記憶に残りづらい。話し手は『印象の演出』に力を入れるべきだ」という――。

※本稿は、林健太郎『できる上司は会話が9割』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

自宅からビデオ会議に出席する男性
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あなたの「初日の挨拶」は誰も記憶していない

「異動初日の挨拶で何を言うか」

12月や3月など、新年や新年度がスタートする前月のコーチングセッションでよく取り上げられるテーマです。そして、ほとんどの上司がセッションの途中で「あること」に気がつきます。

それは皮肉にも、「自分がいくら気合を入れて挨拶したところで、大多数の部下がたいして聞いていない」ということです。

残念ではありますが、現実はその通りでしょう。人間は相手が話した内容の25パーセントくらいしか記憶していないというデータがありますが、実際、あなたが部下だったころのことを思い出してください。異動してきた新しい上司の初日の挨拶に対して、どんな感想を持ちましたか? この質問をすると、「あれ? ほとんど覚えていない……」と答える人が大半です。

着任した上司が「最初が肝心」とばかりに、インパクトのある挨拶をしようとがんばったところで、結局、部下はたいして聞いてくれず記憶にも残らないのです。

だからといって、「どうせ誰も聞いていないから、『初日の挨拶』はなし」というわけにもいきませんね。部下としては、前の上司と新しく着任した上司とどう違うのかは知りたいところでしょうし、どういう人柄なのかは多少ともつかんでおきたいところでしょう。

「初日の挨拶」の内容を考えるうえで大事なのは、まさにここです。

つまり、「部下たちが新しい上司からどんな話を聞きたいのか」という相手目線で、「初日の挨拶」を考えていくのです。

「初日の挨拶」でポイントとなるのは次の2つです。

ポイント① 部下たちに「こう見てもらいたいという印象」が残るように演出する
ポイント② 部下たちに「覚えておいてもらいたいこと」だけを話す